ブルゴーニュで会いましょう

概要

2015年にフランスで製作されたドラマ映画。『Premiers Crus』を原題とする本作は、世界有数のワイン産地であるブルゴーニュ地方を舞台に、故郷を離れて成功した主人公が、実家の危機に直面して帰郷し、家業の再生に奮闘する姿を描いています。家族の絆、故郷への回帰、そして伝統と向き合うことの尊さがテーマとして織り込まれた作品です。

あらすじ

物語の主人公は、ブルゴーニュの由緒あるワイナリーの息子として生まれたシャルリ・マレシャル。自由を求めて若くして故郷を飛び出した彼は、パリで著名なワイン評論家として華やかな日々を送っていました。しかしある時、長らく疎遠になっていた実家のワイナリーが深刻な経営難に陥り、売却寸前であることを知ります。この知らせを受けたシャルリは、かつて自身の居場所ではないと感じていた故郷、ブルゴーニュへと戻る決意をします。

評論家としてワインを知り尽くしていても、農業や実際の醸造に関しては全くの素人であるシャルリ。土に触れる生活や肉体労働に戸惑いながらも、ワイナリーを立て直すべく奮闘を始めます。彼の挑戦を支えるのは、故郷に残ってシェフとして働く妹のマリーと、その夫でワイナリーの醸造責任者であるマルコ。さらに、隣接するワイナリーの娘であり、マレシャル兄妹の幼馴染であるブランシュも、時に厳しく、時に優しくシャルリを見守り、助言を与えます。彼らの協力のもと、シャルリは効率化や現代的な手法ではなく、昔ながらの伝統的な農法に立ち返ることを選び、時間と労力をかけてブドウ畑と向き合っていきます。

故郷での生活は、シャルリにとって過去との再会でもあります。特に、頑固で不器用な父親フランソワとの間には、長年の確執が存在していました。経営不振に苦しみながらも、家族の思い出が詰まったワイナリーの売却を頑なに拒む父親は、当初、突如現れて家業に口出しする息子に良い感情を抱いていませんでした。しかし、農業に不慣れながらも泥にまみれ、真剣にブドウ栽培に取り組むシャルリの姿を見るうちに、父親の心境にも徐々に変化が訪れます。

一方、幼馴染のブランシュもまた、アメリカ人との結婚を控える中で、自身が家業を継ぐことに反対する母親との間で揺れ動いていました。彼女の存在は、シャルリが故郷で自身の居場所を見つけ、過去と向き合う上で重要な役割を果たします。

物語は、シャルリがワイナリーの再生という困難な目標に向かって奮闘する過程を通して、彼自身の内面の変化、家族との関係性の修復、そして故郷ブルゴーニュの土地との繋がりを再確認していく様を描き出します。不慣れな仕事への挑戦、家族との衝突と和解、そして人生における大切な価値観への気づきが、美しいブルゴーニュの風景と共に紡がれていきます。

登場人物

シャルリ・マレシャル: パリで成功したワイン評論家。故郷のワイナリーを救うため帰郷する。ジャリル・レスペールが演じる。
フランソワ・マレシャル: シャルリの父。ワイナリーの経営者で、売却を拒否する。ジェラール・ランヴァンが演じる。
ブランシュ・モービュイソン: マレシャル家の隣人の娘で、兄妹の幼馴染。アリス・タグリオーニが演じる。
マリー・マレシャル: シャルリの妹。シェフであり、兄を支える。ローラ・スメットが演じる。
* マルコ・マレシャル: マリーの夫。ワイナリーの醸造家として働く。ラニック・ゴートリーが演じる。

描かれるテーマ

本作では、故郷からの自立と帰還、親子や家族の間に存在する複雑な愛情と確執、そしてそれらが再生されていく過程が中心的に描かれます。また、伝統的な手法でワイン造りに向き合う主人公の姿を通して、土地に根差した生き方や、困難に立ち向かうことの尊さ、そして自身のルーツを見つめ直すことの重要性が静かに語りかけられます。

ブルゴーニュの美しい風景と、そこで営まれるワイン造りの一年が描かれる中で、人間ドラマが深く掘り下げられた作品と言えるでしょう。

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