ブルマート

ブルマート（Bull mart）について

ブルマートは、日本の雪印乳業が運営したコンビニエンスストアチェーンです。このチェーンは、主に牛乳販売店の活性化を目的として1970年代に設立されました。元々、日本では牛乳の配達は牛乳メーカーから販売店を通じて、戸別に顧客へと行われていましたが、その流通が減少していく中で、雪印は新しい販売形態を模索することになりました。

背景と設立の経緯

1960年代の終わり頃、牛乳の過剰供給が問題となり、従来の販売方式が限界を迎えていました。牛乳販売店のシェアは急速に低下していき、1971年頃には販売店廃業が相次いでいました。この状況を受け、雪印は牛乳販売店の活性化に取り組むことを決定。1972年には専門のプロジェクトチームを結成し、コンビニエンスストアへの転換案を模索しました。

最初のブルマートは1974年に蒲田にオープンし、続けて複数の店舗を試行開店。1975年には東京での展開を本格化させ、「ブルマート」という名前は牛の力強さを象徴することを意図して名付けられました。その後の展開も順調で、全国展開を目指す子会社が1980年代に設立されました。

経営方針と業態

ブルマートが特異なのは、そのチェーン加入の条件にありました。加盟店は雪印製品を扱う牛乳販売店から転業することが求められ、また異業種からの参入も認められました。そのため、元々八百屋や酒販店だった店舗が牛乳を扱うように変わる例が見られました。本部の管理は比較的緩やかだったため、各店舗は元の業務を続けながら、牛乳の販売も行う形式が多く見受けられました。

業界内での競争と提携の道

しかし、1990年代に入ると、コンビニ業界は大手3社が市場の6割を占めるようになり、ブルマートは次第に苦戦を強いられることになります。1991年には本部機能の強化とロイヤルティーの見直しを図りましたが、業界全体の変化にはどうしても追いつけない状況でした。1992年2月には、ブルマートはam/pmとの提携を決定し、1994年にはam/pmがブルマートの株を取得、これにより雪印はコンビニビジネスからの撤退を余儀なくされました。

結論

ブルマートは、雪印乳業が地域の奶牛販売業を活性化するために立ち上げたコンビニエンスストアですが、業界の激しい競争の中で方向転換を余儀なくされた経緯を持っています。この事例から、小規模チェーンの生存戦略や業界の変遷がどのように影響し合うのかを考察することができます。

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