ブルース・アリーナ

ブルース・アリーナ：アメリカサッカー界の先駆者

ブルース・アリーナ（Bruce Arena, 1951年9月21日 - ）は、ニューヨーク市ブルックリン出身のアメリカ人サッカー指導者です。現在はメジャーリーグサッカー（MLS）のニューイングランド・レボリューションで監督を務めています。

選手から指導者へ

アリーナは若い頃から様々なスポーツで才能を発揮しましたが、特にサッカーとラクロスに秀でていました。高校卒業後、地元の独立リーグでゴールキーパーとしてプレーし、その後ナッソー・コミュニティ・カレッジに進学。そこでサッカーとラクロスの本格的なキャリアをスタートさせます。1970年と1971年には、両競技で大学の全米代表に選出されるなど、目覚ましい活躍を見せました。

1971年にはコーネル大学に編入し、1972年にもラクロスの大学全米代表に選ばれました。サッカーへの情熱は当初それほど高くありませんでしたが、コーチからの助言もあり、サッカーのプレーも継続しました。

1973年にはサッカーアメリカ代表として代表キャップを獲得。1974年には世界ラクロス選手権に出場し、ラクロスでもアメリカ代表となりました。

コーネル大学卒業後、アリーナは北米サッカーリーグ（NASL）のニューヨーク・コスモスからドラフト指名を受けますが、これを辞退。ナショナル・ラクロス・リーグのモントリオール・ケベコアに入団します。しかし、1975年にナショナル・ラクロス・リーグがわずか2年で廃止となり、無所属となります。1976年、関係者の紹介でアメリカン・サッカー・リーグ（ASL）のタコマ・タイズに入団し、ピュージェットサウンド大学でサッカーのコーチをしながらプレーしますが、チームは1年で解散し、再び無所属となりました。

1977年、コーネル大学に戻りラクロスのアシスタントコーチを務めた後、1978年にバージニア大学からサッカーとラクロスのコーチのオファーを受け、これを受諾。サッカーとラクロスのコーチ業を両立させます。1985年からはサッカーのコーチに専念。バージニア大学では18年間にわたりコーチを務め、通算295勝58敗32分という高い勝率を記録しました。また、クラウディオ・レイナなど、多くの優秀な選手を育成しました。

MLSでの成功

1996年1月、MLSに新規参入したD.C. ユナイテッドの初代監督に就任。就任1年目でMLSカップとUSオープンカップの2冠を達成します。同年夏には、U-23アメリカ代表を率いてアトランタオリンピックに出場しました。

1997年もD.C. ユナイテッドの勢いは衰えず、MLSカップ2連覇を達成。アリーナはMLSのコーチ・オブ・ザ・イヤー（年間最優秀監督）を受賞します。1998年には、MLSカップでアシスタントコーチとして彼の下で働いた経験を持つボブ・ブラッドリー率いるシカゴ・ファイアーに敗れ、優勝を逃しますが、CONCACAFチャンピオンズカップ（現CONCACAFチャンピオンズリーグ）でメキシコのトルーカFCを下し、初優勝を果たします。同年に行われたコパ・インテラメリカーナでは、南米王者のCRヴァスコ・ダ・ガマを下し、優勝するという快挙も成し遂げました。

アメリカ代表監督として

1998年10月、アメリカ代表の監督に就任。CONCACAFゴールドカップ2回優勝、FIFAランキングでの最高位（4位、2006年4月記録）、2002 FIFAワールドカップでのベスト8進出など、輝かしい実績を残し、高い評価を受けました。特に2002 FIFAワールドカップでは、韓国、ポーランド、ポルトガルと同居したグループを2位で通過し、決勝トーナメント1回戦で長年のライバルであるメキシコを下したことは、アリーナの評価を不動のものとしました。

しかし、2006年の2006 FIFAワールドカップでは、イタリア、ガーナ、チェコと同居するグループに入り、グループリーグ最下位に終わります。アリーナの契約は更新されず、ワールドカップ後に代表監督を退任。1998年の就任から2006年の退任までの通算71勝30敗29分という成績は、アメリカ代表史上最高の数字です。

その後

2006年7月、レッドブルに買収され改称したレッドブル・ニューヨークの監督に就任しますが、2007年11月に成績不振を理由に辞任。

2008年8月18日、ロサンゼルス・ギャラクシーの監督に就任。

2016年11月22日、再びサッカーアメリカ合衆国代表の監督に就任しますが、2017年10月13日、アメリカ合衆国代表が2018 FIFAワールドカップ・北中米カリブ海5次予選で5位に終わり、予選敗退となったことで辞意を表明しました。

アリーナはアメリカサッカー界の発展に大きく貢献した人物であり、その功績は高く評価されています。

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