ブルース・ジョンストン

ブルース・ジョンストン：孤児からビーチ・ボーイズのベーシストへ

ブルース・アーサー・ジョンストン（本名：ベンジャミン・ボールドウィン、1942年6月27日 - ）は、アメリカ合衆国のミュージシャンであり、ザ・ビーチ・ボーイズのメンバーとして世界的に知られています。イリノイ州ピオリア出身の彼は、幼少期を孤児院で過ごした後、レクサール・ドラッグストアチェーンの重役に養子として迎えられ、カリフォルニア州ビバリーヒルズに移住しました。

音楽活動は1950年代後半から始まり、複数のマイナーレーベルでレコーディングに参加。1960年にはデル＝ファイ・レーベルと契約、1962年には初のソロアルバム『サーファーズ・パジャマ・パーティ』を発表するなど、精力的に活動を続けました。1963年には、友人であるテリー・メルチャーの誘いを受けコロムビアレコードに移籍し、2作目のソロアルバムを発表。その後もテリーとの共同作業でリップ・コーズのレコード制作に携わり、ブルース＆テリー名義でのシングルリリースも行っています。

転機が訪れたのは1965年。当時、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンの代役としてツアーに参加していたグレン・キャンベルがバンドを離れた後、マイク・ラヴの誘いを受け、ジョンストンはビーチ・ボーイズに加入しました。キーボードを得意としていた彼は、ベース経験はありませんでしたが、わずか数週間でベース演奏を習得し、バンドに不可欠な存在となりました。ギター演奏にも多少の経験があり、アルバム『パーティ』などでもギターを演奏しています。

1968年には、エド・サリヴァン・ショーに出演。隠遁生活を送っていたブライアン・ウィルソンに代わり、キーボードを担当しました。キャピトルレコード時代のビーチ・ボーイズではリードボーカルを取ることは少なかったものの、ワーナー・リプリーズ移籍後のアルバム『サンフラワー』で発表した「ディードリー」「ティアーズ・イン・ザ・モーニング」などの楽曲で、そのメロディアスなボーカルが注目を集めました。

1971年、マネージャーとの対立によりビーチ・ボーイズを一時脱退。しかし、1970年代を通じてゲスト参加を続け、1979年のアルバム『L.A.(ライト・アルバム)』で正式に復帰を果たしました。

ジョンストンは作曲家としても活躍し、「ディズニー・ガールズ (1957)」など数々の楽曲を発表。この曲はキャプテン＆テニール、アート・ガーファンクルらによってカバーされています。また、1977年にはバリー・マニロウが歌った全米No.1ソング「歌の贈りもの (I Write the Songs)」の共作曲者としてグラミー賞最優秀楽曲賞を受賞。同年、3作目のソロアルバム『Going Public』も発表しています。

彼は共和党の熱心な支持者として知られており、自身を「本物の保守的な男」と公言し、生涯アルコール以外のドラッグを一切使用したことがないことを明かしています。2012年のアメリカ大統領選挙では、共和党候補のミット・ロムニーを支持する立場を公にしています。

2012年には、ビーチ・ボーイズのデビュー50周年記念プロジェクトに参加し、レコーディングとワールドツアーを行いました。しかし、同年10月以降は、リユニオン前のメンバー構成に戻り、ツアーを継続しています。ビーチ・ボーイズでの活躍以外にも、ソロ活動や作曲家としての才能を発揮し、音楽界に多大な貢献を果たしたジョンストンの生涯は、まさに波乱に満ちたドラマと言えるでしょう。

もう一度検索