ブルーズ・アンド・ロイヤルズ

ブルーズ・アンド・ロイヤルズ：イギリス陸軍の精鋭騎兵連隊

ブルーズ・アンド・ロイヤルズ連隊は、イギリス陸軍を代表する由緒ある騎兵連隊です。17世紀に起源を持つ2つの名門騎兵連隊、ロイヤル・ホースガーズと第1ロイヤル竜騎兵が1969年に統合されて誕生しました。それぞれの旧連隊の愛称である「ブルーズ」と「ロイヤルズ」を受け継ぎ、現在もその伝統と威信を誇り高く保ち続けています。

歴史と伝統

ロイヤル・ホースガーズの起源は1650年にまで遡ります。オリバー・クロムウェルの創設した胸甲騎兵連隊が、王政復古後、ロイヤル・ホースガーズ連隊として再編されました。制服の色から「オックスフォードブルーズ」の愛称で知られ、その後、1821年には王室騎兵隊の一員となりました。

一方、第1ロイヤル竜騎兵は、1661年にタンジールへ派遣される騎兵隊として創設されました。その後、1751年に第1ロイヤル竜騎兵連隊となり、長い歴史の中で数々の戦役を経験し、その勇名を馳せました。

1969年の統合により誕生したブルーズ・アンド・ロイヤルズは、両連隊の伝統と経験を融合させ、現代のイギリス陸軍において重要な役割を担う存在となっています。

構成と任務

ブルーズ・アンド・ロイヤルズは現在、3個中隊体制で編成されています。そのうち2個中隊は、ライフガーズ連隊の2個中隊と共に王室騎兵連隊（Household Cavalry Regiment：HCR）を構成し、装甲偵察任務に当たります。最新の装甲戦闘車両を装備し、第3師団における機動力を支えています。残りの1個中隊はライフガーズ連隊の1個中隊と共に王室騎兵乗馬連隊（Household Cavalry Mounted Regiment）を構成し、主に儀仗任務に就いています。

この一見複雑な編成は、イギリス陸軍の縮小後も、各連隊の長い歴史と伝統を維持するための配慮です。ブルーズ・アンド・ロイヤルズにとって、装甲偵察任務と儀仗任務はどちらも等しく重要であり、「片手間」の任務など存在しません。連隊自身も「The best of both worlds」と誇りを持って語っています。

王室騎兵隊としての役割は、単なる儀仗に留まりません。ウィンザー城やバッキンガム宮殿への緊急出動体制が常時整えられており、王室の安全確保に重要な役割を果たしています。ウインザー城火災の際にも、消火活動に貢献した実績があります。

階級と呼称

ブルーズ・アンド・ロイヤルズは、他のイギリス陸軍部隊とは異なる独自の階級呼称と階級章を用いることで知られています。例えば、下士官はすべて伍長であり、軍曹の階級が存在しません。これは、かつての王室騎兵隊の下士官が全てジェントリ出身であったことに由来する伝統です。少尉に対しては、コルネッツ(Cornet)という独自の呼称を用いるのも特徴です。

近年の活動

近年では、ヘンリー王子がブルーズ・アンド・ロイヤルズ連隊に配属され、FV107 シミターの小隊長を務めたことも注目を集めました。これは、王室メンバーが最前線で任務に就くという、象徴的な出来事でした。

ブルーズ・アンド・ロイヤルズ連隊は、その歴史、伝統、そして現代的な戦闘能力を兼ね備えた、イギリス陸軍を代表する精鋭騎兵連隊です。今後も、王室の護衛や国防に重要な役割を果たしていくことでしょう。

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