ライフガーズ

ライフガーズ：イギリス陸軍の誇る近衛騎兵連隊

ライフガーズは、イギリス陸軍における最古にして最も由緒ある近衛騎兵連隊です。その歴史はイングランド内戦後、亡命中のチャールズ2世に仕えたロイヤリストの護衛隊にまで遡ります。17世紀半ば、オランダで結成されたこの護衛隊は、王の親衛隊として、やがては近衛騎兵連隊へと発展していく礎となりました。

歴史：王室と歩んだ栄光の歴史

1651年のウースターの戦い敗北後、亡命していたチャールズ2世は、彼に忠誠を誓ったジェントルマン80名からなる騎馬護衛隊を編成しました。これがライフガーズの起源です。当初は個人のボディーガードとして活動し、戦闘時には歩兵として戦列に臨むこともありました。その後、チャールズ2世の弟であるヨーク公、そして議会派から王党派に転じたジョージ・マンクもそれぞれ護衛隊を編成、これらが統合されてライフガーズの基盤を形成しました。

チャールズ2世の戴冠後、ライフガーズは3個中隊に編成され、ロンドン入城に際しその栄えある姿を披露します。その後も中隊の増減や改編を経て、1788年には第1、第2連隊に分割され、1922年に現在のライフガーズとして統合されました。

数々の戦争や紛争を経験し、その歴史の中でライフガーズは王室の忠実な護衛として、そして勇敢な戦闘部隊としてイギリスの歴史にその名を刻んできました。

構成と組織：伝統と近代性を兼ね備えた組織

ライフガーズは、歴代の君主をカーネル・イン・チーフに迎え、伝統を重んじる一方、近代的な組織運営を行っています。名誉職である連隊長には、イギリス軍の最高幹部が任命され、連隊本部はブルーズ・アンド・ロイヤルズ連隊と共にウィンザーのコンバーメア・バラックスに置かれています。

ライフガーズは、ブルーズ・アンド・ロイヤルズと共に王室騎兵隊を構成する重要な一部です。王室騎兵隊は、実戦部隊である王室騎兵連隊と、儀仗・衛兵任務に特化した王室騎兵乗馬連隊からなります。ライフガーズはそれぞれに中隊を派遣し、王室の警護や儀式の遂行に携わっています。

王室騎兵隊：儀仗と実戦の両面を担う精鋭部隊

ライフガーズが所属する王室騎兵隊は、その任務の多様性で知られています。王室騎兵連隊は、最新鋭の装甲偵察車両を装備し、NATO軍の一員としてボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、コソボ紛争、イラク戦争、アフガニスタン紛争など、数々の実戦に参加しました。

一方、王室騎兵乗馬連隊は、ロンドンのホース・ガーズでの衛兵交代式、トゥルーピング・ザ・カラーなどの王室儀式、戴冠式や王族の結婚式のパレードなどで華麗な騎馬行進を披露します。その正装は、赤いジャケットに白い羽飾りのヘルメットと、白のキュロットとブーツという特徴的な姿で、多くの観光客を魅了しています。

ライフガーズと王室：深い絆と数々のエピソード

ライフガーズの将校は、その高い乗馬技術と洗練された立ち居振る舞いから、王室との関わりが深いことで知られています。多くの王室女性がライフガーズ将校と親交を深め、中にはロマンスに発展した例もあります。ダイアナ元皇太子妃とジェームス・ヒューイット、アン王女とマーク・フィリップスの関係も、その代表的な例として挙げられます。

ライフガーズ軍楽隊：伝統の音楽を奏でる

ライフガーズには、独自の軍楽隊も存在します。陸軍音楽軍団に所属するライフガーズ軍楽隊は、伝統的な軍楽を演奏するだけでなく、ブルーズ・アンド・ロイヤルズ軍楽隊と合同して大規模な演奏会を行うこともあります。その演奏は、イギリスの伝統と格式を象徴するものです。

結び：伝統と近代性の融合

ライフガーズは、その長い歴史と伝統、そして高い戦闘能力と儀仗能力を兼ね備えた、イギリス陸軍を代表する精鋭部隊です。これからも王室の忠実な護衛として、そしてイギリスの誇りとして、その活動を続けていくでしょう。

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