ブルーノ・ペツォルト

ブルーノ・ペツォルト：ジャーナリストから仏教研究者へ

ブルーノ・ペツォルト（Bruno Petzold, 1873年8月3日 - 1949年2月16日）は、ドイツのブレスラウ（現在のポーランド・ヴロツワフ）に生まれ、ジャーナリスト、そして仏教研究者としてその生涯を歩みました。

多岐にわたる学問とジャーナリズムの道

ペツォルトは、高校卒業後、ライプツィヒ大学で経済学、歴史学、哲学、宗教、芸術など幅広い分野を学びました。在学中には、ノルウェー出身のピアニスト・声楽家であるハンカ・シェルデルップと出会い、後に結婚します。ベルリンのカイザー・ヴィルヘルム大学で政治経済学などを修めた後、パリに移り、ドイツの雑誌に記事を寄稿。その後、ロンドンではドイツの新聞「Hamburger Nachrichten」の海外特派員を務めました。1905年にはハンカとの間に息子アーヌルフが生まれています。

日本での仏教との出会い

1908年、ペツォルトは清朝時代の中国に渡り、天津で新聞の編集長を務めます。1909年には、妻ハンカが東京音楽学校の教師として招聘されたことを機に、自身も「ケルニッシェ・ツァイトゥング」紙の東京駐在特派員として1910年に日本へ移住しました。その後、1917年から1943年まで第一高等学校でドイツ語とラテン語の教師として教鞭を執る傍ら、中央大学、立正大学、成蹊高等学校でも教壇に立ちました。

1917年に善光寺を訪れたことがきっかけで、ペツォルトは本格的に仏教の研究を始めます。当初は神道史家の星野日子四郎に師事し、その後、浄土真宗の僧侶で仏教各宗派に詳しい島地大等の弟子となりました。島地の死後、彼の遺志を継いだ花山信勝から学び、1927年から1944年の間、花山とは週に少なくとも2回は会っていたとされています。

仏教研究者としての晩年

1923年、ペツォルトは天台宗で得度し、僧侶となりました。1948年には僧正の位を授けられ、死後には権大僧正の位が贈られています。第二次世界大戦終戦時には長野県軽井沢町に疎開し、1949年に同地で亡くなりました。夫妻の遺骨は比叡山に葬られています。

ペツォルトは仏教哲学に関する膨大な著作を残しましたが、その多くは死後に出版されました。彼の遺品は、オーストラリア国立図書館などに寄贈されています。

主な著作

Die Quintessenz der T'ien-t'ai-(Tendai-)Lehre. Eine komparative Untersuchung. （天台教学の精髄、比較研究）
Goethe und der Mahayana Buddhismus.（ゲーテと大乗仏教）
日本語訳:『比較宗教学への試み ゲーテと大乗仏教』
The classification of Buddhism: Comprising the classification of Buddhist doctrines in India, China and Japan.（仏教の分類: インド・中国・日本の仏教教義の分類）
Tendai Buddhism: collection of the writings by Bruno Petzold（天台仏教: ブルーノ・ペツォルト著作集）

ペツォルトに関する文献

Arnulf H. Petzold: Catalogue of the Buddhist Library of the Late Bruno Petzold.（故ブルーノ・ペツォルトの仏教文献目録）
Volker Zotz: Auf den glückseligen Inseln. Buddhismus in der deutschen Kultur.（幸福の島にて: ドイツ文化における仏教）
John Rosenfield, Fumiko E. Cranston; "The Bruno Petzold Collection of Buddhist and Shinto Scrolls"（ブルーノ・ペツォルトの仏教・神道文書コレクション）
* Detlev Schauwecker: Bruno Petzold (Biografisches) Teil I, II und III.

ジャーナリストとして世界各地を渡り歩いたペツォルトは、日本で仏教と出会い、その探求に生涯を捧げました。彼の研究は、現代においても重要な資料として参照されています。

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