ブルーリックスの戦い

ブルーリックスの戦い

ブルーリックスの戦い（英: Battle of Blue Licks）は、アメリカ独立戦争の最中に1772年8月19日に発生した重要な戦闘であり、ケンタッキー州で最後の戦闘となりました。この戦いは、イギリス軍のチャールズ・コーンウォリスが1771年にヨークタウンで降伏した10ヶ月後に行われ、実質的には東部地域での独立戦争はほぼ終息していましたが、西部の戦闘は続いていました。

この戦いは、現在のケンタッキー州ロバートソン郡のリッキング川近くの丘で行われました。約50名のイギリス軍レンジャーズと300名のインディアンが待ち伏せし、182名のケンタッキー民兵隊を攻撃。結果として、独立戦争中のケンタッキーでの最大の敗北につながりました。

背景

1781年10月、コーンウォリス配下のイギリス軍がヨークタウンで降伏するも、西部の戦いは続いていました。デトロイト砦を拠点とするイギリス軍がインディアンを支援し、西バージニアからアメリカ人開拓者を追い出そうとする動きが強まりました。1782年7月には、多くのインディアンがショーニー族の集落で集結し、コールドウェル大尉に率いられたイギリス軍レンジャーズがオハイオ川の北側への攻撃を計画しましたが、ジョージ・ロジャース・クラークの動きによりこの攻撃は中止となりました。

残った50名のイギリス軍レンジャーズと300名のインディアンは、ケンタッキーのブライアンズ・ステーションを急襲しようとしましたが、その前に民兵隊が救援に向かいました。ケンタッキー民兵隊は、1775年のブライアンズ・ステーションの防御を固め、攻撃への準備を整えていましたが、敵軍の撤退に直ちに追撃を決定します。

戦闘

8月19日の朝、ケンタッキー民兵隊はリッキング川に到着しました。そこにはローワー・ブルーリックスと呼ばれる泉があり、川の向こうにはインディアン斥候の姿が見られました。トッド大佐の指揮の下、ダニエル・ブーンの意見も参考にしつつ作戦会議が開かれました。ブーンはインディアンの待ち伏せを警戒すべきだと強調しましたが、一部の士官は攻撃を急ぐべきだと主張しました。

最終的に、ケンタッキー民兵隊は川を渡り、丘に向かって進軍しました。しかし、丘の頂上に到達した途端、インディアンによる激しい攻撃を受けました。わずか5分ほどで隊伍が崩れ、支援が間に合わないまま多くの士官が命を落とすこととなりました。ブーンも息子と共に戦闘に巻き込まれ、息子が瀕死の重傷を負うという結果になりました。

この戦いの結果、ケンタッキー民兵隊は壊滅的な敗北を喫し、多くの犠牲者を出しました。エリート兵士の間で士気が低下する中、部隊は混乱を極めて撤退を余儀なくされました。

戦いの後

この戦闘後、ジョージ・ロジャース・クラークはケンタッキー民兵隊の指導者としてその責任を問われ、報復のために攻撃を仕掛けました。彼はベンジャミン・ローガンやダニエル・ブーンと共に、ショーニー族の集落に対する大規模な攻撃を引き起こしましたが、戦闘そのものは避けられました。

また、ブルーリックスの戦場は後に州立公園として整備され、記念碑や博物館が設けられ、訪れる人々にその歴史を伝えています。この戦いはアメリカ独立戦争の中で重要な出来事として位置付けられており、戦闘の経過やその後の影響について研究が重ねられています。

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