ブルー・マックス (映画)

映画『ブルー・マックス』解説

『ブルー・マックス』（原題：The Blue Max）は、1966年に公開されたイギリス・アイルランド合作の戦争映画です。ジョン・ギラーミンが監督を務め、第一次世界大戦中のドイツ空軍におけるパイロットたちの活躍と、その裏に隠された人間ドラマを描いています。

作品の背景

この映画のタイトルにもなっている「ブルー・マックス」とは、プロイセン王国の勲章である「プール・ル・メリット勲章」の英語での通称です。第一次世界大戦において、航空戦のエースパイロットに授与されることが多かったため、パイロットにとって最高の栄誉の象徴として知られています。

あらすじ

物語は、第一次世界大戦末期の1918年を舞台に展開されます。主人公は、元歩兵のドイツ軍パイロット、ブルーノ・スタッヘル中尉。彼は、軍人としての最高の栄誉であるブルー・マックス勲章を得ることを目指し、戦闘機部隊に配属されます。

しかし、庶民出身のスタッヘルは、貴族出身の同僚たちとの間に見えない壁を感じ、激しい対抗意識を燃やします。初出撃で敵機を撃墜するも、確認されずに終わるなど、不遇な状況が続きます。それでも彼は、次々と戦果を上げていき、次第に周囲の注目を集めるようになります。

国内の厭戦気分を背景に、スタッヘルは国民的英雄として祭り上げられます。しかし、その過程で彼は、隊長との対立を深め、伯爵夫人との不倫に溺れるなど、徐々に増長していきます。そして、ライバルの戦死や、勲章をめぐる駆け引きを経て、彼はついにブルー・マックス勲章を授与されることになります。

しかし、その直後、伯爵夫人から横領の事実を密告されたスタッヘルは、新型戦闘機の試験飛行という名目で、死へと向かうことになります。彼は、自らの野望と欲望の果てに、悲劇的な結末を迎えるのです。

製作のこだわり

本作の見どころの一つは、第一次世界大戦当時の戦闘機を忠実に再現した機体を使用した、迫力ある空中戦のシーンです。ミニチュア撮影を一切行わず、実物大の機体を飛ばして撮影されたこれらのシーンは、観る者に臨場感と興奮を与えます。スタント飛行は、『素晴らしきヒコーキ野郎』や『チキ・チキ・バン・バン』などを担当したデレック・ピゴットが担当しています。

登場人物

ブルーノ・スタッヘル: 主人公。庶民出身のパイロットで、ブルー・マックス勲章を目指す。
ハイデマン大尉: スタッヘルの隊長。貴族出身で、冷静沈着な人物。
カエティ: クルーガーマン伯爵夫人。スタッヘルと不倫関係になる。
クルーガーマン伯爵: ドイツ軍 высокое положение. カエティの夫。

テーマ

この映画は、戦争における個人の野心や欲望、そしてその代償を描いています。スタッヘルは、勲章を得ることで自己実現を果たそうとしますが、その過程で人間性を失い、破滅へと向かいます。また、戦争という極限状態における人間関係の複雑さや、社会の欺瞞なども描かれており、単なる戦争映画としてだけでなく、人間ドラマとしても見ごたえのある作品となっています。

まとめ

『ブルー・マックス』は、第一次世界大戦を舞台に、人間の欲望と戦争の残酷さを描いた傑作戦争映画です。迫力ある空中戦の映像や、登場人物たちの複雑な人間関係など、見どころ満載の作品であり、戦争映画ファンならずとも必見の作品と言えるでしょう。

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