プール・ル・メリット勲章

プール・ル・メリット勲章について

プール・ル・メリット勲章（Pour le Mérite）は、1740年にプロイセン王国によって設立された名誉勲章であり、戦功章（Militärklasse）と平和章（Friedensklasse）の2つの等級を持っています。戦功章は第一次世界大戦終結まで、プロイセン軍における最高位の勲章として知られ、一般には「ブラウアー・マックス」（英語での俗称は「ブルー・マックス」）とも呼ばれます。帝政廃止に伴い一時は廃止されたものの、平和章は1952年に復活しました。

勲章の歴史

プール・ル・メリットという名称はフランス語で「功績に対して」を意味し、1740年にプロイセン王フリードリヒ2世（大王）によって最高位の名誉勲章として制定されました。当初は軍人と一般市民の両方が授与対象でしたが、1810年にフリードリヒ・ヴィルヘルム3世が軍人のみを対象とする布告を出しました。フリードリヒ2世の治世下で924名に勲章が授与され、特に1810年には戦場で功績のあった軍人に特化しました。

また、1813年にはオークの葉を飾りつける新たな章が追加され、戦闘での顕著な功績を上げた上級将校に贈られることとなります。それにより、オークの葉付きプール・ル・メリットは受賞者の地位を象徴するものとなりました。

フリードリヒ・ヴィルヘルム3世の治世中に、ナポレオン戦争での功績が大きく評価され、多くのロシア軍将校にも与えられました。1842年には、科学や芸術の分野を対象とする「プール・ル・メリット科学芸術勲章」が設置され、1866年には敵軍に多大な損害を与えた者へ授与される大十字章が導入されるなど、勲章の発展が続きました。

第一次世界大戦とその後

第一次世界大戦中、プール・ル・メリット勲章は特に多くの著名な受章者を輩出しました。ドイツの空軍パイロットたちが多く受章し、マックス・インメルマンがその名を知られており、彼が8機を撃墜した功績で初めて授与されました。この結果、勲章は国際的にも広く知られるようになり、やがて「ブルー・マックス」という愛称が生まれました。戦争が進むにつれ、授章基準は厳格に設定され、最終的には16機撃墜が基準となりました。

受章者は青いマルタ十字と鷲の記章を袖に付けることが義務付けられ、常時勲章を身につける必要がありました。代表的な受章者としては、マックス・インメルマン、マンフレート・フォン・リヒトホーフェン、及び後にナチス政権の要となる者たちが存在し、平和章を得た科学者や藝術家も名を連ねています。

ヴァイマル共和政と復活

ヴァイマル共和政時代には国家による叙勲が禁じられましたが、平和章は任意団体から授与され、数多くの著名な科学者や芸術家に贈られました。特にアルベルト・アインシュタインやケーテ・コルヴィッツがその代表的な受賞者です。しかし、ナチス政権時代は反抗的な者からこの勲章が剥奪されました。

1952年にドイツ連邦共和国のテオドール・ホイス大統領により平和勲章が再び授与されることとなり、今も科学や芸術の分野で顕著な成果を収めた者に贈与されています。歴史的には大きな意味を持つ勲章であり、多くの受章者がその名を冠して活躍しています。

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