ブレシット郡 (ケンタッキー州)

ブレシット郡は、ケンタッキー州の東部に位置し、豊かな自然と歴史を持つ地域です。1839年にクレイ郡、エスティル郡、ペリー郡の一部を合わせて設立され、郡の名前は1832年から1834年までケンタッキー州知事を務めたジョン・ブレシットに由来します。

歴史

第一次世界大戦中、ブレシット郡は徴兵を志願兵のみで埋めたことで、全米から注目を集めました。徴兵された人が一人もいなかったという事実は、この郡の愛国心の強さを物語っています。当時、3,912人が登録し、405人が志願。そのうち324人が招集され、281人が実際に兵役に就きました。この功績は、現在も郡庁舎前の歴史標識に「ブレシットの志願兵」として刻まれています。また、郡内の退役軍人を称える石碑も建てられており、郡の歴史と共に、住民の愛国心を今に伝えています。

ブレシット郡は、初期には政治闘争が絶えなかった地域でもあります。投票所での銃撃戦で命が失われることもありました。長らく民主党が優勢でしたが、近年では共和党が勢いを増しています。また、ファーストレディのエレノア・ルーズベルトやレディ・バード・ジョンソンもこの地を訪れており、郡の歴史に彩りを添えています。特にエレノアはブレシット郡高校の開校を、バード・ジョンソンは同高校体育館の開設を祝いました。郡内では多くの女性が政治的に活躍し、郡最初の女性郡長や女性判事も誕生しています。

ブレシット郡の最初の住民はチェロキー族インディアンでした。その後、アイルランド人、イングランド人、フランス人、ドイツ人の子孫が移り住みました。山岳地帯に位置するため、交通の便は良くありませんでしたが、州道15号線の整備により、アクセスが改善されました。1970年代には、山間部にも車で行ける道が整備され、移動が容易になりました。

経済面では、製材業と石炭鉱業が重要な役割を果たしてきました。1960年代までは製材業が活発でしたが、その後石炭鉱業が発展。しかし、1980年代後半から石炭ブームが減速し、多くの人が職を求めて他地域へ移住しました。現在では、製材業も石炭鉱業も低迷しています。

ブレシット郡は自然にも恵まれており、山道やエルクが見られる地域もあります。ジャクソン市にはレスター・スミス公園をはじめとする公園があり、毎年様々な祭りも開催されています。

地理

アメリカ合衆国国勢調査局によると、ブレシット郡の総面積は495.29平方マイル（1,282.8平方キロメートル）です。そのうち陸地が495.19平方マイル（1,282.5平方キロメートル）で、水域はごくわずかです。

ケンタッキー川の北支流と中支流が郡内を流れ、主要な水源となっています。郡は以下の郡と隣接しています。

北西: ウルフ郡
北東: マゴフィン郡
東: ノット郡
南東: ペリー郡
南西: オウスリー郡
西: リー郡

教育

ブレシット郡には、ジャクソン独立教育学区とブレシット郡教育学区の二つの教育学区があります。ジャクソン独立教育学区は、ジャクソン市とその周辺の公共教育を管轄し、幼稚園から高校までの一貫教育を提供しています。ブレシット郡教育学区は、郡内全域とジャクソン市の一部学校を管轄し、小学校4校、中学校1校、高校1校を運営しています。

私立学校もいくつか存在し、マウントカーメル学校、オークデール・クリスチャン・アカデミー、リバーサイド・クリスチャン学校があります。高等教育機関としては、リーズ・カレッジ、ハザード・コミュニティ工科カレッジのキャンパス、ケンタッキー・マウンテン・バイブル・カレッジ、モアヘッド州立大学ジャクソン・キャンパスがあります。

ブレシット地域工学センターは、ジャクソン独立教育学区とブレシット郡教育学区の両方にまたがり、自動車工学、建築学、電気工学、健康科学、事務技術などの専門教育を提供しています。ケンタッキー大学ロビンソン校は、農業と林業の研究を進める施設として、地域に貢献しています。

ブレシット郡は、その豊かな歴史と自然、そして教育への熱意を通じて、ケンタッキー州の重要な一部を形成しています。

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