ブレス しあわせの呼吸

ブレス しあわせの呼吸：ポリオと闘い、人生を謳歌した夫婦の物語

1958年、イギリス人男性ロビン・カヴェンディッシュは、28歳の若さでポリオに感染します。結婚したばかりの妻ダイアナ、そして生まれたばかりの息子ジョナサンを残し、首から下が麻痺するという運命に襲われたのです。医師から余命数ヶ月と宣告されたロビンは、絶望の淵に突き落とされます。しかし、献身的に彼を支える妻ダイアナの愛と、息子の存在が、ロビンの心を少しずつ癒していきます。

ダイアナの尽力によって、ロビンは自宅に戻り、息子のジョナサンと会うことができました。それでも、人工呼吸器なしでは生きられないロビンの生活は困難を極めます。そこでロビンは、友人であるテディの協力を得て、人工呼吸器を備えた画期的な車椅子を開発。この車椅子によって、彼は再び自由に動き回り、ダイアナや家族と共に旅行に出かけることもできるようになりました。

ロビンは、自らの経験を多くの人々と分かち合うため、モバイルチェア（車椅子）の普及にも尽力します。1973年には、ドイツで開催された欧州会議に参加し、病院に閉じ込められた患者たちの苦しみを訴えかけ、世間の理解を求めました。

数々の困難を乗り越え、大勢の友人たちに支えられながら前向きに人生を歩んできたロビンでしたが、1981年、呼吸器から大量出血を起こし、命の危機に瀕します。肺の機能が限界に達したのです。回復の見込みはないと悟ったロビンは、静かに死を受け入れ、最期のときを迎えます。彼は、妻ダイアナと息子ジョナサンに見守られながら、安らかに息を引き取りました。

キャストと製作

本作は、実在の人物ロビン・カヴェンディッシュの人生を基に制作されました。ロビンの息子であるジョナサン・カヴェンディッシュがプロデューサーを務め、アンディ・サーキスが監督を務めた、注目の作品です。

主演を務めたアンドリュー・ガーフィールドは、ロビン役を演じるにあたって、実際のロビンと同じように動けない体勢を長時間に渡り維持しました。また、ダイアナ役のクレア・フォイは、過剰な感傷表現を避け、夫婦の愛を自然体で演じきりました。

ガーフィールドは、ロビンの性格や、人工呼吸器に繋がれた状態での彼の心情を理解するため、ダイアナ、ジョナサン、そして彼らの友人や家族らと時間を過ごし、彼の人となりや精神世界を深く理解しようと努めました。その結果、ロビンの魂を表現することに成功しています。

公開と評価

2017年9月11日、第42回トロント国際映画祭でワールドプレミアが行われ、大きな注目を集めました。アメリカとイギリスでは、それぞれ同年10月に公開。

批評家の評価は高く、映画批評集積サイトRotten Tomatoesでは、批評家支持率66%、Metacriticでは加重平均値51/100という評価を得ています。力強い演技と、温かい視点から描かれる現実の出来事が高く評価されました。

まとめ

『ブレス しあわせの呼吸』は、ポリオという困難な病と闘いながら、人生を謳歌したロビン・カヴェンディッシュの物語です。困難に立ち向かう夫婦の愛、そして、希望を捨てずに生きることの大切さを改めて私たちに気づかせてくれる、感動的な実話に基づく映画です。この映画は、人生の尊さ、愛の力、そして何よりも、諦めない心の大切さを改めて考えさせてくれる、忘れられない作品と言えるでしょう。

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