ブレーメンの音楽隊

ブレーメンの音楽隊

『ブレーメンの音楽隊』は、グリム童話の中でも特に有名な物語の一つです。この物語は、かつて飼い主に見捨てられたロバや、虐待を受けたイヌ、運命に翻弄されたネコ、さらには食用にされる運命のニワトリたちが、友情と協力の力で新しい生活を築く様子を描いています。

あらすじ

物語の主人公であるロバは、年老いて仕事ができなくなったため、主に虐待を受けていました。耐え切れなくなったロバは、自由を求めて逃げ出し、ブレーメンに行って音楽隊に加わろうと決意します。その道中、同じように捨てられたイヌやネコ、屠殺を逃れたニワトリと出会い、四匹は仲間になり、ブレーメンを目指して旅を続けます。

日が暮れたある夜、森で休もうとした動物たちは、近くに明かりの灯る家を見つけます。好奇心から近づいてみると、家の中では泥棒たちが食事を楽しんでいました。お腹が空いていた動物たちは、泥棒を追い払ってごちそうを手に入れようと、ひと計を案じます。ロバの上にイヌ、イヌの上にネコ、ネコの上にニワトリが乗った姿で大声をあげると、泥棒たちは驚き、逃げ出しました。

その家の中に入った動物たちは、自分たちの計画が成功し、美味しそうな料理を食べることができたのです。腹を満たした彼らは、明かりを消して眠りにつきました。しかし、泥棒たちは明かりが消えたのを見て、再び家に戻ろうと考え、一人の泥棒が恐る恐る家の中に入ります。すると、そこでは動物たちが待ち構えていました。猫の引っかき、犬の噛みつき、ロバの蹴撃、ニワトリの大鳴きによって、泥棒は恐怖を感じて逃げ出しました。

この出来事により、泥棒たちは二度とその家に近づくことはなく、動物たちはその家で穏やかに暮らすことができるようになりました。彼らは音楽を奏でて楽しい日々を過ごしました。

音楽隊の象徴

物語に登場する音楽隊の動物たちを象徴する銅像が、ブレーメンの市庁舎の近くにあります。この銅像は1953年にゲルハルト・マルクスによって制作され、高さ約2メートルあります。多くの観光客や市民がこの銅像を訪れ、特にロバの前足を撫でることで願い事が叶うと信じられています。そのため、ロバの前足は光り輝いています。この銅像は、ブレーメン市の重要なシンボルとなっており、周囲にはローラントの像も並んで建っています。

物語自体は、動物たちが実際にブレーメンに到達することはなかったものの、彼らの旅の中で友情や協力を学び、新たな居場所を見つけて幸せに暮らす姿が描かれています。

関連項目

この物語の影響は広範であり、グリム童話の他にも、ドイツのメルヘン街道やブレーメン通り商店街など、このテーマに関連する場所や事物があります。また、『おかあさんといっしょ』という番組では、この話を基にした楽曲も制作されています。外部リンクとしては、青空文庫に収められた『ブレーメンの町楽隊』や『ブレーメンの音楽師』などがあります。このように、『ブレーメンの音楽隊』はただの物語にとどまらず、文化や歴史にも深く根差しています。

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