ブロックゲージ

ブロックゲージは、精密な長さの基準として用いられる直方体形状の測定工具です。その特徴は、硬く、経年変化の少ない素材で作られた直方体の6面のうち、特に1組の対向する2面が極めて高い精度で平坦かつ平行に加工されている点にあります。この2面間の距離が、規定された寸法となるように精密に仕上げられています。

ブロックゲージは、長さの異なる複数のブロックがセットとして提供され、単独で使用するだけでなく、複数のブロックを密着させる「リンギング」という技法によって貼り合わせて使用します。これにより、組み合わせによって多様な寸法を作り出すことが可能です。例えば、12.345mmの寸法が必要な場合、10mm、1.34mm、1.005mmの3枚のブロックゲージを組み合わせることで、正確にその寸法を作り出すことができます。

ブロックゲージには、いくつかの製作精度等級があり、用途に応じて使い分けることができます。JIS（日本産業規格）では、K級、0級、1級、2級の4つの等級が規定されており、K級が最も精度が高く、2級が最も精度が低いとされています。これらの精度等級は、ブロックゲージの製造における平坦度、平行度、寸法精度などの基準を定めています。

ブロックゲージは、他のブロックゲージとの比較検査によって精度が確認されますが、最高等級のブロックゲージ（JISのK級）の検査には、光波干渉測定法という特殊な方法が用いられます。これは、光の干渉現象を利用して、非常に微細な寸法を測定する高度な技術です。

ブロックゲージは、19世紀末にスウェーデンのカール・ヨハンソンによって初めて製作されました。日本では、昭和初期に津上退助が国産化に成功しています。ブロックゲージのセットには、112個組、103個組、76個組など様々な組み合わせが存在し、多数のブロックを貼り合わせることで、非常に多くの寸法を作り出すことが可能です。

ブロックゲージを貼り合わせる際に生じる誤差は、0.01µm（マイクロメートル）以下と非常に小さく、精密な測定や加工においてその精度が重要な役割を果たします。そのため、ブロックゲージは、機械部品の製造、品質管理、精密測定など、様々な分野で広く利用されており、現代の精密工業において欠かせない存在となっています。

ブロックゲージは、その精密さから「寸法の基準器」とも呼ばれ、精密なものづくりを支える重要な基盤となっています。その製造には高度な技術が要求されるとともに、使用時にも丁寧な取り扱いが求められます。正確な測定を行うためには、ブロックゲージの正しい知識と使用方法を理解することが不可欠です。ブロックゲージは、現代の精密工業を支える上で、なくてはならない存在と言えるでしょう。

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