ブロニスワフ・マリノフスキ (陸上選手)

ブロニスワフ・マリノフスキ（Bronisław Malinowski、1951年6月4日 - 1981年9月27日）は、ポーランドの元陸上競技選手で、3000m障害のスペシャリストとして知られています。特に、1980年モスクワオリンピックでの金メダル獲得は、彼のキャリアにおける最大のハイライトと言えるでしょう。

生い立ちと初期のキャリア

ポーランド人の父とスコットランド人の母の間に生まれたマリノフスキは、19歳で1970年のヨーロッパジュニア選手権に出場し、優勝を果たしました。この頃から、彼の才能は注目を集め始めます。1972年ミュンヘンオリンピックに初めて出場し4位入賞、その2年後のヨーロッパ選手権では金メダルを獲得するなど、着実に実績を積み重ねていきました。

アンデルス・ヤーデルードとのライバル関係

マリノフスキのキャリアにおいて、スウェーデンのアンデルス・ヤーデルードとのライバル関係は特筆に値します。ヤーデルードは常にベストタイムでマリノフスキを上回っていましたが、実際のレースではマリノフスキが勝利することが多かったようです。特に、ヤーデルードが先行逃げ切り型であったのに対し、マリノフスキは最後に追い抜くというパターンを得意としていました。

1976年モントリオールオリンピック

1976年モントリオールオリンピックでは、マリノフスキ、ヤーデルード、タピオ・カンタネンが3強と目されていました。レースでは、東ドイツのバウムガルトルが3強に割って入る展開となりましたが、最終障害でバウムガルトルが転倒。ヤーデルードが辛くも優勝し、マリノフスキはバウムガルトルを避けながら銀メダルを獲得しました。

ヘンリー・ロノの登場とモスクワオリンピック

オリンピック後、ヤーデルードは引退しましたが、1978年にはケニアのヘンリー・ロノが世界新記録を樹立し、マリノフスキの新たなライバルとして立ちはだかります。しかし、マリノフスキは強豪ロノとの激戦を制し勝利を収め、同年のヨーロッパ選手権でも優勝を果たしました。

そして、1980年モスクワオリンピック。マリノフスキは3大会連続の出場を果たします。レースでは、タンザニアのフィルバート・バイがハイペースで飛ばし、マリノフスキとの差は一時30mにもなりました。しかし、2400m手前からマリノフスキはスパートを開始し、残り1周で20m差まで詰め、最後の水濠で逆転。ついに金メダルを獲得しました。

突然の死

1981年9月27日、マリノフスキはグルジョンツで自動車事故のため、30歳の若さで亡くなりました。彼の突然の死は、ポーランドの陸上界にとって大きな損失となりました。

主な実績

1970年: ヨーロッパジュニア選手権 優勝
1972年: ミュンヘンオリンピック 4位
1974年: ヨーロッパ選手権 金メダル
1976年: モントリオールオリンピック 銀メダル
1978年: ヨーロッパ選手権 金メダル
1980年: モスクワオリンピック 金メダル

ブロニスワフ・マリノフスキは、その卓越した才能と不屈の精神で、ポーランドの陸上競技史に名を刻みました。彼の功績は、今もなお多くの人々に語り継がれています。

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