ブロワ城

ブロワ城の歴史と特徴

ブロワ城（ブロワじょう）は、フランスのロワール渓谷に位置し、ロワール＝エ＝シェール県に属する壮大な城・宮殿です。歴代のフランス王たちがこの城に住居を構え、また、1429年にはジャンヌ・ダルクがオルレアンからの軍の出発前にランスの大司教から祝福を受けた場所としても知られています。かつての政治的権威を象徴するこの城は、ブロワの市街中心部にそびえ立っており、13世紀から17世紀にかけて建設された数々の建物が中庭を取り囲む形で配置されています。特に有名なフランソワ1世の翼には、美しい螺旋階段があり、そのデザインはルネサンス様式の傑作と称えられています。

ルイ12世と中世のブロワ城

中世のブロワ城は、ルイ12世の居城として重要な役割を果たしました。この時期、城は政治の中心地でもあり、1500年代初頭にはルネサンス様式の庭園の造作が進められましたが、1890年代の工事によってその庭は取り壊されてしまいました。ルイ12世の翼は、赤レンガと灰色の石を使用し、主要な入口として機能していました。建物のデザインは、ゴシック様式を基礎にしつつも、ルネサンス様式の要素が一部加わっており、入口の上部には王の騎馬像が掲げられています。

フランソワ1世の庇護と文化

フランソワ1世が王となると、彼の妻、クロード王妃の意向により、ブロワ城は改修され、彼女が住むための場所としてアンボワーズ城から移されます。しかし、1524年に王妃が亡くなると、フランソワ1世自身はブロワ城に滞在することが少なくなり、蔵書もフォンティーヌブロー城に移転され、後に国立図書館が設立されることになります。この時期に建設された新しい翼では、イタリアの影響が色濃く反映されており、中央には彫刻に囲まれた八角形の螺旋階段が位置し、庭園の美しい景観を一望することができます。

アンリ3世と宗教戦争

アンリ3世の治世中、宗教改革の時代には彼がパリを離れ、1576年と1588年にブロワ城に滞在しました。この期間中、彼は三部会を開き、その際に宿敵であるギーズ公アンリを暗殺するという衝撃の事件が発生します。ブロワ城はこのような歴史的な出来事の舞台ともなり、記憶に残る場所となりました。

アンリ4世とその後

その後、ブルボン朝の初代の王アンリ4世が城を利用するようになります。彼の死後、未亡人マリー・ド・メディシスはしばらくの間、ブロワ城に幽閉されました。1626年にはルイ13世が弟オルレアン公ガストンにこの城を授け、新たな翼の建設が始まりますが、オルレアン公の死に伴って工事は中断されます。設計を手がけたのは著名な建築家フランソワ・マンサールで、彼の手がけた翼は中庭の後壁を形成し、異なる様式のオーダーが重なり合った美しいデザインが特徴となっています。

フランス革命とその後

フランス革命の期間中、ブロワ城は貴族の象徴と見なされ、略奪や破壊が進行しました。数十年もの間城は放置され、取り壊される運命にありましたが、軍の駐屯地として生き残ることになります。1841年にはルイ・フィリップ王の指導のもと、歴史的記念碑に指定され、修復が行われ博物館として一般に開放されることになりました。

現在のブロワ城

現在、ブロワ城はブロワ市が所有し、主要な観光地となっています。訪問者は、カトリーヌ・ド・メディシスが使用していたとされるキャビネットなど、さまざまな歴史的な展示物を楽しむことができます。この城はフランスの歴史を垣間見ることのできる重要な建築物であり、観光客にとって魅力的な目的地となっています。

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