ブロンディ (犬)

ブロンディ：ヒトラーに愛されたジャーマン・シェパード

ブロンディ（Blondi、1941年 - 1945年4月29日）は、アドルフ・ヒトラーが深く愛したジャーマン・シェパード犬です。1941年にマルティン・ボルマンから子犬として贈られ、ヒトラーの傍らで生涯を過ごしました。

生涯

ブロンディは、ヒトラーにとって単なるペット以上の存在でした。彼はブロンディを溺愛し、誰に「一番好きなものは何か」と聞かれても「ブロンディだ」と答えるほどでした。ブロンディ自身もヒトラーを信頼し、休暇中には一緒に散歩や遊びを楽しむなど、非常に親密な関係を築いていました。

ナチスの宣伝記事では、ブロンディは「ヒトラーの動物の恋人」として紹介され、その緊密な関係は広く知られました。ブロンディを描いた本や絵葉書が販売されるほどの人気ぶりでした。

第二次世界大戦末期の1945年1月、ヒトラーが総統地下壕に移ってからも、ブロンディは彼と行動を共にしました。ヒトラーはブロンディが総統防空壕の寝室で寝ることを許していました。

1945年4月、ブロンディはゲルディ・トローストの飼い犬であるジャーマン・シェパードのHarassとの間に5匹の子犬を産みました。ヒトラーは、そのうち1匹に自身の名前の由来であり、狼を意味する「ヴォルフ（Wolf）」と名付けました。残りの4匹のうち1匹は、エーファ・ブラウンの妹であるマルガレーテ・ブラウンに贈られました。

しかし、ブロンディの運命は悲劇的な結末を迎えます。1945年4月29日、ヒトラーはベニート・ムッソリーニが処刑されたことを知り、自身も赤軍に捕らえられることを恐れて自殺を決意します。しかし、ハインリヒ・ヒムラーを通じて受け取った青酸カリの効果に疑問を抱いたヒトラーは、ブロンディを使ってその効果を試すことにしました。

ブロンディは、口に毒を詰め込まれることを最後まで拒みましたが、最期までヒトラーを見つめ続けました。ヒトラーが部屋を去った後も、その方向を見つめながら息絶えたと言われています。ブロンディの幼い4匹の子犬も同様に毒殺されましたが、ヴォルフだけは行方不明となりました。

翌30日、ヒトラーは自殺し、ブロンディは彼の最期の決断に巻き込まれた犠牲者となってしまいました。

その他

ヒトラーの愛人であったエーファ・ブラウンは、ブロンディを嫌っており、ヒトラーのいない時に蹴っていたという証言もあります。また、ブロンディのようなジャーマン・シェパードは、狼のような容姿と高い忠誠心からドイツ軍人に非常に好まれていました。そのため、犬種名はナチズムやドイツに対する嫌悪感に配慮して、一時的に「アルサシアン」と変更されたこともありました。

関連項目

ジャーマン・シェパード・ドッグ

脚注

出典

外部リンク

Eva Braun-Reel 5 of 8 US National Archives

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