プジョー・4007

プジョー4007は、プジョー社が初めて手掛けたSUVとして、2007年のジュネーブモーターショーで華々しくデビューを飾りました。このモデルは、三菱アウトランダーをベースに、プジョーと三菱の技術協力を結集して開発された、両社の技術が融合した革新的な一台と言えるでしょう。

その特徴的なスタイリングは、プジョー独自のアイデンティティを強く主張しています。特にフロントマスクは、それまでのプジョーの3桁モデルとは一線を画す、力強くダイナミックなデザインが採用され、ブランドイメージの刷新に大きく貢献しました。一方、リアビューはアウトランダーとの共通性が見られ、開発における協調関係を伺わせる部分となっています。

4007のボディやシャーシは三菱製の4WDシステムが採用され、悪路走破性や安定した走行性能を実現しています。しかし、サスペンションなどの走行に関わる主要な部分はPSAグループ（プジョー・シトロエン）が独自に開発しており、プジョーらしい乗り心地の良さやハンドリングの正確性を両立させています。

搭載エンジンは、フォード社およびPSAグループとの共同開発による2.2L HDiディーゼルエンジンと、三菱製のガソリンエンジンの2種類が用意されました。多様なユーザーのニーズに対応できるよう、ディーゼルエンジンによる力強い走りと、ガソリンエンジンのスムーズな走行性能という異なる選択肢を提供しました。

生産は、三菱自動車の水島製作所（岡山県倉敷市）で行われ、日本国内のみならず世界各国へ輸出されました。この地での生産は、日仏両国の自動車産業における連携の深さを象徴する出来事と言えるでしょう。

2012年に生産が終了した4007の後継車種としては、三菱RVRをベースに開発されたプジョー4008が登場しました。4007は、プジョーのSUV戦略における重要な第一歩であり、その後のモデル開発にも大きな影響を与えたモデルと言えるでしょう。兄弟車として、シトロエンCクロッサーが存在しました。このモデルは、4007とプラットフォームを共有しながら、シトロエン独自のスタイリングを取り入れたモデルとなっています。

プジョー4007は、日仏自動車メーカーの技術協力によって生まれた、個性的なSUVとして、自動車史にその名を刻みました。その存在は、国際的な自動車産業における協業の可能性を示唆する、貴重な事例と言えるでしょう。三菱アウトランダーの優れたプラットフォームをベースに、プジョー独自の技術とデザインを融合させた4007は、多くのユーザーに新鮮な驚きと満足を提供した、記憶に残る一台だったと言えるのではないでしょうか。

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