プラス (企業)

東京都港区虎ノ門に本社を構えるプラス株式会社は、総合事務用品メーカーとして知られています。オフィス用品市場における大手企業の一つであり、幅広い事業を展開しています。

事業概要

プラスの事業内容は多岐にわたり、大規模な事務家具やオフィスインテリア用品の製造・販売から、手軽な筆記具などの小物文具、さらにはOA関連商品、事務機器に至るまで、幅広い種類のオフィス用品を取り扱っています。また、電子光学機器や情報機器、教育機器の製造・販売も手掛けており、オフィス環境のデザイン、施工、内装工事も事業領域に含まれます。過去には、複数の機能を集約したユニークな文具セット「チームデミ」などが人気を集めました。

加えて、コンピュータプログラムのソフトウェアや書籍の販売、損害保険の代理業、さらには宿泊施設や業務研修用施設、貸会議場の経営・管理、社員食堂や飲食店の運営といった、一見オフィス用品とは異なる分野にも進出しています。

同社は、文具や事務機器をはじめとするオフィス用品の販売、そしてその調達や流通の効率化にも積極的に取り組んでいます。この目的のために、アスクル株式会社やジョインテックス株式会社といった関連会社や社内カンパニーを設立し、独自の物流・販売ネットワークを構築しています。

沿革

現在のプラス株式会社は、比較的複雑な企業再編を経て成立しています。そのルーツは、1948年に今泉商店と鈴木商店が合併して設立された千代田文具株式会社に遡ります。この会社は1959年に商号をプラス株式会社に変更（「プラスアルファ」に由来するとされています）、後のプラスプロパティ株式会社となります。

一方、2000年4月には、有限会社ジェイピーエムエムアールが組織変更により株式会社となり、こちらも商号をプラス株式会社（旧プラス）に変更します。この旧プラスは、同日に先述のプラスプロパティ株式会社から営業を譲り受けました。プラスプロパティ株式会社は2002年にこの旧プラスに吸収合併され、解散しました。

さらに、2001年4月、この旧プラスが子会社としてジョインテックス株式会社を設立します。このジョインテックス株式会社が、2005年4月、親会社である旧プラス株式会社を吸収合併し、商号をプラス株式会社に変更しました。これが現在のプラス株式会社の直接的な成り立ちです。

現在のプラス株式会社となって以降も、企業規模の拡大や事業の再編が進められています。2002年には北海道から中四国までの地方ジョインテックスを吸収合併し、2003年には九州ジョインテックスから営業を譲り受けるなど、販売網を強化しました。2009年にはプラスビジョン株式会社の営業全部を、2010年にはプラスステーショナリー株式会社とプラススペースデザイン株式会社を、2011年には日本ディー・エル・エム株式会社をそれぞれ吸収合併しています。2012年にはビズネット株式会社を完全子会社化するなど、M&Aも積極的に実施しています。

近年の動向：ぺんてる子会社化を巡る動き

近年特に注目された動きとして、2022年には同業のぺんてる株式会社を子会社化しました。この背景には、2019年にぺんてるに対し敵対的TOBを表明していたコクヨ株式会社との間で繰り広げられた株式の争奪戦があります。プラスは、コクヨの動きに対し、ぺんてる側にとって友好的な買収を提案する「ホワイトナイト」として名乗りを上げ、ぺんてるとの間で資本提携を締結しました。これによりコクヨは一時業務提携へと方針転換しましたが、新型コロナウイルスの影響などもあり、その後の協議が滞る中で、プラスはコクヨが保有していたぺんてるの全株式を取得し、子会社化を完了させました。

現在の組織体制

プラス株式会社は、事業領域ごとに社内カンパニー制を採用しており、ジョインテックス、ファニチャー、ステーショナリー、ビジョンといったカンパニーが存在します。また、グループ会社として、ビズネット株式会社やプラスロジスティクス株式会社など、国内外に多数の関連会社を有しています。アスクル株式会社も関連会社として名を連ねています。

このようにプラス株式会社は、複雑な歴史を持ちながらも、オフィス用品を中心とした幅広い事業を展開し、積極的なM&Aや企業再編を通じて成長を続ける、日本のオフィス用品業界における主要企業の一つです。

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