プラスキ砦の戦い

プラスキ砦の戦い：南北戦争における転換点

概要

1862年4月10日から11日にかけて、ジョージア州サバンナ近郊のタイビー島で、北軍と南軍の間でプラスキ砦の戦いが勃発しました。112日間にわたる包囲の後、30時間に及ぶ激しい砲撃戦の末、北軍はプラスキ砦を制圧しました。この戦闘は、従来の海岸防御を無力化した画期的なパロット砲の使用によって大きな歴史的意義を持ちます。北軍による大規模な水陸両用作戦も展開され、サバンナ港の戦略的閉鎖へと繋がりました。

プラスキ砦：戦略的重要拠点

プラスキ砦はサバンナ川の河口付近のコックスパー島に位置し、サバンナ市への海上アクセスを監視する重要な拠点でした。サバンナは綿花輸出港として、また鉄道の中心地、主要工業地帯として、南軍にとって商業的にも工業的にも極めて重要な都市でした。砦の背後にはサバンナ川が流れ、南には2つの入り江がありました。東側にはタイビー島があり、北軍はここから砦を包囲しました。

砦の建設と背景

プラスキ砦は、アメリカの海岸防衛システム「第3システム」の一環として建設されました。建設は1830年代に始まり、1845年に完成。アメリカ独立戦争で活躍したポーランドの英雄、カジミエシュ・プワスキの名を冠しています。若き日のロバート・E・リー中尉も工兵として建設に関わっていました。プラスキ砦は、サバンナ市の防衛を拡張する目的で、旧ジャクソン砦（第2システム）の下流に建設されました。南北戦争勃発前、連邦政府は南部の軍事施設への兵站を控え、これが後に南軍による接収を招きました。

ジョージア方面軍と砦の防衛

1861年1月、ジョージア州が合衆国から脱退する直前、南軍はプラスキ砦を掌握しました。砦は修復、強化され、ジョージア方面軍によって守備隊が配置されました。方面軍司令官の交代を経て、ロバート・E・リー将軍が指揮を執るようになりました。リーは、砦の防御力を高く評価し、水路への船舶の沈設なども含めた防御計画を立案しました。守備隊は訓練不足でしたが、厳しい訓練スケジュールの下、防衛体制の構築に励みました。

南軍の防御戦略

リー将軍は、プラスキ砦の防御を強化するため、上流に砲台を築き、サバンナ川への北軍の接近を阻む戦略を取りました。また、ジャクソン砦も強化され、サバンナ市への直接攻撃を防ぐ役割を担いました。南軍は水路に船舶を沈め、北軍の侵攻路を遮断しようとしました。しかし、北軍の進出を完全に阻止することはできませんでした。

北軍の侵攻と包囲

1861年8月、北軍は陸軍と海軍の合同部隊を編成し、プラスキ砦の制圧と海上封鎖の拡大を目指しました。まずタイビー島を占領し、プラスキ砦への包囲を開始しました。北軍は、従来の砲撃戦だけでなく、新しいパロット砲を用いた革新的な砲撃戦術を駆使しました。この砲撃戦術は、既存の海岸防御システムを無力化することに成功しました。

包囲と砲撃戦

北軍は、プラスキ砦を包囲し、タイビー島に大口径パロット砲を設置しました。包囲作戦において、北軍の工兵隊は湿地帯での作業困難を克服し、綿密な計画と準備を行いました。4月10日、北軍はプラスキ砦への砲撃を開始しました。激しい砲撃戦の末、砦の壁に大きな損害を与え、南軍守備隊は降伏を余儀なくされました。

戦いの結果と影響

プラスキ砦の陥落により、サバンナ港は閉鎖され、北軍の海上封鎖は拡大しました。この戦いは、パロット砲の有効性を示し、海岸防御の在り方に大きな影響を与えました。サバンナ市自体はその後も南軍の支配下にありましたが、1864年にはシャーマン将軍率いる北軍によって陥落しました。一方、南軍もこの戦いを教訓として、海岸防御の強化や機雷敷設など、新たな防御戦略を講じるようになりました。

プラスキ砦と周辺の砦

現在、プラスキ砦は国定記念碑として一般公開されています。サバンナ市内にはジャクソン砦、南郊外にはマカリスター砦も保存されており、これらは南北戦争の歴史を伝える重要な史跡となっています。

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