プラット・アンド・ホイットニー F100

F100ターボファンエンジン

F100は、アメリカのプラット・アンド・ホイットニーが開発した航空機用のアフターバーナー付きターボファンエンジンです。主にF-15戦闘機とF-16戦闘機に搭載されており、高出力と信頼性の高さで知られています。

開発の歴史

F100の開発は1967年に始まり、アメリカ海軍と空軍が共同でF-14およびF-15用のエンジンの提案を求めました。これに基づき、「Advanced Turbine Engine Gas Generator（ATEGG）」という計画が立ち上げられ、特に推力の増大と軽量化が目指されたのです。1970年にはプラット・アンド・ホイットニーがF100-PW-100とF401-PW-400の開発を契約しましたが、海軍は後にF-14用のエンジンの要求をキャンセルし、F-111のTF30が搭載されることとなりました。

各型式の特徴

F100-PW-100

F100-PW-100は1972年に初めてF-15に搭載され、初飛行を果たしました。しかし、初期からスタグネーション・ストールと呼ばれる深刻な問題が発生し、F-15の導入に遅れをもたらしました。この問題は、可動式の空気取り入れ口を持つF-15において顕著であり、固定式の水冷式空気取り入れ口を持つF-16では発生頻度が低いことが知られています。

スタグネーション・ストールは、アフターバーナー点火時に発生する点火ショックがコンプレッサーを失速させる現象です。この問題の解決策として、エンジンの構造を変更する改善策や運用上の対策が講じられ、現在ではその発生は報告されていません。日本では石川島播磨重工業がライセンス生産を行い、F-15J/DJに搭載されています。

F100-PW-200

F100-PW-200はF-16に搭載されるモデルで、F100-PW-100とほぼ同じ仕様です。1984年にはエンジンの二重ソース化を目指すAlternative Fighter Engine（AFE）計画が開始され、F-16C/D Block30/32が両方のエンジンを搭載できる設計として登場しました。

F100-PW-220/220E

F100-PW-220/220Eは1986年から導入され、精度管理やデジタル制御により高いメンテナンス性と信頼性を実現しました。この型式は、F-15とF-16両方に搭載可能で、推力はドライで64.9 kN (14,600 lbf)、最大で105.7 kN (23,800 lbf)に達します。

F100-PW-229/229A/229EEP

F100-PW-229は、F100-PW-220Eを基にした改良型で、ファンや圧縮機の段数の改善が施されています。推力はドライで17,800 lbf (79.2 kN)、最大29,160 lbf (130 kN)です。このモデルにはF-22およびF-35用の新技術が反映されていて、メンテナンスが簡素化されています。229EEPモデルでは、メンテナンスサイクルが4,300から6,000に延び、コスト削減が図られています。

F401-PW-400

F401はF-14に搭載される予定で開発されましたが、技術的な問題から開発が困難に陥り、その結果として計画は中止されました。F100エンジンはその後も改良が続けられ、数多くの機体に搭載されている実績を持っています。

搭載機の一覧

F100は以下の航空機に搭載されています：

• - F-15A〜D/F-15J
• - F-16（～Block 25）
• - F-15Eとその派生型
• - X-47B
• - ヴォートYA-7F

まとめ

F100エンジンは、確かな技術革新と試行錯誤を経て、現在に至るまで高い運用実績を誇ります。その性能と信頼性は、航空機に求められる重要な要素となっています。

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