プラット・アンド・ホイットニー JT8D

JT8Dエンジンの概要

JT8Dは、プラット・アンド・ホイットニーが開発したターボファンエンジンであり、1964年にボーイング727向けに導入されました。このエンジンは低バイパス比（0.96から1）を持っており、ターボジェットエンジンであるJ52（社内名称JT8A）の改良版です。次世代の航空機エンジンとしての技術が盛り込まれています。

構造と機能

JT8Dは2軸式の軸流前方ターボファンエンジンです。外部の軸は高圧タービンからの駆動で7段の高圧圧縮機を回転させ、一方で内側の軸は後方の3段の低圧タービンが前方の6段の低圧圧縮機を回転させます。最初の2段はファンのバイパス流を使用しており、排気はこのバイパス流と混合されます。このため、騒音は減少しますが、低バイパス比のため依然として騒音は大きめです。この設計は、当時のターボファンエンジンの技術的限界によるものであり、騒音の発生は設計者の意図によるものではありません。

後に登場したJT8D-209型では、既存のJT8D-9のコア部分を流用しながらも、バイパス比を高めるために新設計の大型ファンが搭載されました。これにより、騒音の軽減や推力の向上、燃料消費の改善が図られました。

パフォーマンスと影響

JT8Dは、推力範囲が12,250ポンドから21,000ポンドまであり、ボーイング727や737、DC-9などの様々な航空機に搭載されています。その運用は350以上の航空会社に拡大し、運転時間は合計15億時間を超えるなど、ターボファンエンジンの中でも特に成功したモデルの一つと言えます。製造数も非常に多く、航空業界における技術革新を象徴しています。

バリエーションと搭載機

JT8Dにはいくつかのバリエーションがあります。

• - JT8D-5: 推力12,250 lbf (54.49 kN) - マクドネル・ダグラス DC-9-10
• - JT8D-7: 推力14,000 lbf (62.28 kN) - ボーイング 727-100/-200
• - JT8D-9: 推力14,500 lbf (64.50 kN) - ボーイング 737-100/-200、DC-9-30 など
• - JT8D-11: 推力15,000 lbf (66.72 kN) - ボーイング 727-200、DC-9-40
• - JT8D-15: 推力15,500 lbf (68.95 kN) - ボーイング 727-200、737-200 など
• - JT8D-209: 推力18,500 lbf (82.29 kN) - マクドネル・ダグラス MD-81
• - JT8D-219: 推力21,000 lbf (93.41 kN) - マクドネル ダグラス MD-83/MD-87

このようにJT8Dエンジンは、航空機産業の発展に寄与した重要な存在であり、多くの航空機の心臓部として広く利用され続けています。

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