プリティ・プリンセス

ディズニー映画『プリティ・プリンセス』：王室と高校生活の狭間で揺れる少女の物語

2001年に公開された『プリティ・プリンセス』（原題：The Princess Diaries）は、メグ・キャボットの小説を原作とする、アメリカ合衆国発のロマンスコメディ映画です。サンフランシスコで母親と二人暮らしをするごく普通の女子高生ミア・サーモポリスが、実はヨーロッパの架空の国ジェノヴィアの王位継承者だったという衝撃の事実を告げられることから物語は始まります。

予想外の運命と王女としての教育

運動も苦手で人前に出るのも苦手なミアは、親友のリリーと兄のマイケル以外とまともに話すことのない内気な少女でした。そんな彼女の人生は、亡き父がジェノヴィアの王子であり、自分が唯一の王位継承者であることを告げられたことで一変します。突然の事実に戸惑うミアは、事実を隠してきた母親や、王女としての教育を強いる祖母に反発しますが、王女としての舞踏会出席をきっかけに、しぶしぶ「王女教育」を受けることを決意します。

放課後、厳しいながらも愛情あふれる教育を通して、ミアは徐々に王女としての品格と自信を身につけていきます。その過程で、祖母であるクラリス女王との絆も深まっていきます。しかし、華麗な変身を遂げたミアの姿がマスコミにリークされたことで、ミアは一躍時の人となり、予期せぬ出来事に翻弄されます。

恋と挫折、そして真の成長

ミアは、かねてから想いを寄せていた同級生のジョシュに近づきますが、彼は軽薄な男で、ミアのプライベートな写真がマスコミに流出する事態を招いてしまいます。この出来事をきっかけに、ミアは深く傷つき、王女になることを諦め、旅に出ることを決意します。

旅の途中で、ミアは亡き父の手紙を見つけます。そこには、王族としての責任を果たすために生きた父の葛藤や、ミアへの温かいメッセージが綴られていました。「勇気とは恐れぬことではない。たいせつな何かのために恐れを克服しようと決心することの方がだいじなのだ」という言葉は、ミアの心を深く揺さぶります。

ミアは、父からのメッセージと、祖母からの謝罪を受け止め、雨の中、びしょ濡れの姿で舞踏会に向かいます。記者会見の場で、王女として生きていくことを堂々と宣言したミアの姿は、周囲に衝撃を与えます。

華やかな舞踏会の後、ミアは初めてジェノヴィアを訪れ、王女としての新たな人生を歩み始めます。ミアは、常に彼女を見守ってきたマイケルと、真実のキスを交わし、幸せな未来へと進んでいきます。

キャストとスタッフ

主演のミア役にはアン・ハサウェイ、クラリス女王役にはジュリー・アンドリュースといった実力派俳優陣が出演。他にも、ミアの親友リリー役のヘザー・マタラッツォ、リリーの兄マイケル役のロバート・シュワルツマン、そしてミアの恋の相手であるジョシュ役のエリック・フォン・デッテンなど、個性豊かなキャストが物語を彩ります。監督はゲイリー・マーシャル、プロデューサーにはホイットニー・ヒューストンも名を連ねています。

原作との違いと映画の魅力

原作小説はニューヨークを舞台としていますが、映画版ではサンフランシスコが舞台に変更されています。これは、監督の孫がサンフランシスコに住んでいたことが理由の一つだと言われています。映画では、アルカトラズ島やゴールデンゲートブリッジなど、サンフランシスコの象徴的な場所が数多く登場し、現実とファンタジーが融合した独特の世界観を作り上げています。

『プリティ・プリンセス』は、王室の華やかさと高校生活の現実が交錯する、心温まるシンデレラ・ストーリーです。ミアの成長と葛藤、そして周りの人々との温かい人間関係は、多くの観客の心を掴んで離しません。2004年には続編『プリティ・プリンセス2／ロイヤル・ウェディング』が公開され、2024年には第3作目の制作も発表されており、今後もシリーズの展開が期待されています。

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