プリンスエドワード (オンタリオ州)

プリンスエドワード郡：歴史と自然が織りなすカナダの楽園

カナダのオンタリオ州南東部に位置するプリンスエドワード郡（正式名称：City of Prince Edward County）は、キングストンの西、オンタリオ湖北東部の湖岸に広がる地方行政区です。

「郡」という名称が用いられていますが、一般的な郡とは異なり、トロント市やハミルトン市と同等の単一層自治体として機能しています。これは、歴史的な名称を維持しているためで、正式名称に「City」の冠詞が付されている点からも分かります。郡の行政の中心はピクトンに置かれています。プリンスエドワードアイランド州やプリンスエドワード島との混同を避けるため、英語圏では「Prince Edward County」と呼び、略称として「PEC」が用いられています。

歴史：王党派と新たな発展

プリンスエドワード郡の歴史は1792年に始まります。初代アッパーカナダ副総督ジョン・グレーブス・シムコーによって設立され、その地名はジョージ3世の四男、ケント公爵エドワード王子に由来します。アメリカ独立戦争後の移住者、特に英国王党派（United Empire Loyalist）が、この地に定住したことが、地域社会の形成に大きく貢献しました。1998年には地方自治体改革が行われ、旧プリンスエドワード郡に属していた複数の市町村が合併、現在の単一層自治体となりました。かつての市町村は現在、郡を構成する区として存在しています。

地理：湖に囲まれた穏やかな楽園

プリンスエドワード郡は、北と東をクィンティ湾（Bay of Quinte）に囲まれた、ほぼ島のような地形をしています。西北部のみが陸続きですが、マレー運河（Murray Canal）によってオンタリオ湖へと繋がっています。穏やかな気候に恵まれ、近年では数多くのワイナリーが設立され、南オンタリオにおけるVQA（Vintners Quality Alliance）ワイン生産の中心地として発展を遂げています。

観光：歴史と自然、そしてワイン

夏には、キャンプ、釣り、サイクリング、ダイビングなど、多様なアウトドアアクティビティを楽しむ観光客でにぎわいます。英国王党派が築いた歴史的な街並みが今も残り、ビクトリア調の建物が建ち並ぶ美しい景観は、リゾート地としての魅力を高めています。近年発展したワイナリーでは、ワインテイスティングツアーなども開催され、観光の新たな選択肢となっています。歴史と自然、そしてワインが調和した、魅力あふれる観光地として、プリンスエドワード郡は訪れる人々を魅了し続けています。

まとめ

プリンスエドワード郡は、歴史、自然、そしてワインが織りなす、カナダの隠れた魅力を秘めた地域です。穏やかな気候と美しい景観、そして活気ある観光産業は、多くの観光客を惹きつけます。歴史好き、自然愛好家、ワイン愛好家、いずれの方にも、忘れられない旅の思い出を提供してくれることでしょう。

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