プリンツ・フォン・プロイセン

プリンツ・フォン・プロイセンの概要

プリンツ・フォン・プロイセン（Prinz von Preußen）は、プロイセン王国における特別な称号で、王太子でない王位継承者に与えられました。この称号は1744年に制定され、当時のプロイセン王フリードリヒ2世によって最初に授与されたことから始まります。プロイセン王の称号が王太子にのみ与えられるのに対し、プリンツ・フォン・プロイセンはその他の王位継承者のための識別用の称号として機能しました。

称号の成立とその授与の詳細

1744年6月30日、フリードリヒ2世がその最年長の弟、アウグスト・ヴィルヘルム王子にプリンツ・フォン・プロイセンの称号を授けました。この称号は、プロイセンにおけるサリカ法により男系のみに適用される王位継承順位に基づき制定されたもので、王太子に代わる存在として登場しました。国際的な外交儀礼において、この称号はフランスのドーファンやイギリスのプリンス・オブ・ウェールズと同等の位置づけと考えられていました。

この称号は、最初の授与後、合計で3名のプロイセン王族に与えられました。アウグスト・ヴィルヘルム王子は生前に王位を継ぐことがなく1758年に逝去しましたが、その後彼の長男フリードリヒ・ヴィルヘルム王子が同年12月にこの称号を受けました。フリードリヒ・ヴィルヘルム王子は1786年に即位し、フリードリヒ・ヴィルヘルム2世となりました。また、1840年にはフリードリヒ・ヴィルヘルム4世がその弟ヴィルヘルム王子に同称号を授与し、1861年に王位を継承しました。

名乗りの変更とその重要性

フリードリヒ大王は、プリンツ・フォン・プロイセンの称号の使用に工夫を凝らしました。一般的にプロイセン王族は「プリンツ」の後に名前を続け、最後に「フォン・プロイセン」と名乗りますが、大王は称号の趣旨を明確にするため、プリンツ・フォン・プロイセンの称号を持つ者にはその前に個人名を配置するよう指示しました。これによって、例えばアウグスト・ヴィルヘルム王子は「アウグスト・ヴィルヘルム、プリンツ・フォン・プロイセン」という形式で名乗ることになりました。

この称号は、1919年に制定されたヴァイマル憲法の施行により、プロイセン王家の子孫に対して姓として広く使用されるようになり、注目されるポイントとして、王位継承者の識別が難しくなる側面が生じました。特に女性の場合は「プリンツェシン・フォン・プロイセン」と名乗るように変更されました。

結論

プリンツ・フォン・プロイセンの称号は、プロイセン王国内における王位継承者としての重要な地位を表すものであり、その歴史や変遷は王家の構造や外交関係を反映しています。この称号は、時代を超えてプロイセンの歴史を象徴するものとなり、今なお、旧王室の名の下に受け継がれているのです。

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