プリント倶楽部

プリント倶楽部の歴史と進化

プリント倶楽部、通称「プリクラ」は、1990年代に登場し、瞬く間に若者文化の中心となった写真シール機です。アトラスが1995年に発売した「プリント倶楽部」を皮切りに、各社から類似の製品が登場し、その機能は進化を続けました。本記事では、プリクラの歴史、技術、そして文化的な側面について詳しく解説します。

プリクラの概要

プリクラは、内蔵カメラで撮影した自分の顔や姿をシールに印刷できる自動販売機です。当初はアミューズメント施設を中心に設置され、その後、ゲームセンターや商業施設など、様々な場所に広がりました。撮影した写真にフレームやスタンプを追加したり、ペンタブレットで文字やイラストを書き込んだりできる機能が搭載され、若者を中心に人気を博しました。特に女子中高生の間では、プリクラで撮影した写真を交換したり、手帳に貼って共有したりする文化が生まれました。

プリクラの技術

プリクラの初期モデルは、アーケードゲームの基板をベースにしていましたが、その後、PC/AT互換機|PC_AT互換機が内蔵されるようになり、OSもWindowsなどが使用されるようになりました。撮影には、当初はCCDカメラが使われていましたが、近年ではデジタル一眼レフカメラが主流となっています。印刷には、昇華型カラープリンターが使われており、三菱電機製やシンフォニアテクノロジー製のものが多く採用されています。撮影と印刷の技術は各社間でほぼ差がなくなっているため、各メーカーは撮影ブースの設計、画像処理、ユーザーインターフェース、印画紙の質感などを工夫して、製品の独自性を出しています。

近年の機種には、3G通信機能が搭載されており、ソフトウェアのアップデートやプロモーションの更新、撮影した画像のサーバーへの送信などが可能になっています。また、撮影データの再プリント機能は、悪用や個人情報保護の観点から、現在の機種では制限されています。しかし、マシントラブル時には、電源断から復帰することで処理を続行できるようになっています。

プリクラの歴史

プリクラの開発者である佐々木美穂は、リクルートからアトラスに移籍し、偶然目にしたビデオプリンターから着想を得て、プリクラを開発しました。1995年に「プリント倶楽部」が発売され、テレビ番組で紹介されたことをきっかけに認知度が向上。1996年には流行語大賞やヒット商品ランキングに選ばれ、1999年頃に第一次ブームのピークを迎えました。しかし、ブームは2年ほどで収縮し、設置台数も減少しました。

その後、トーワジャパン製の「ストリートスナップ」の登場により、全身を撮影できる機種が登場。日立ソフトウェアエンジニアリングがその後継機である「劇的美写」を発売し、高画質化や多機能化が進みました。しかし、アトラスは「スーパープリクラ21」の在庫過多により出遅れ、他社にシェアを奪われることとなりました。アトラスは2009年に業務用ゲーム事業から撤退。その後、セガがプリントシール機市場に再参入し、現在はセガフェイブが事業を継承しています。

プリクラの文化

プリクラは、フィルムカメラ時代の写真交換の文化を引き継ぎ、数百円で複数枚のシールを共有できる手軽さから、若者を中心に爆発的に普及しました。プリクラを貼った手帳は「プリ帳」と呼ばれ、友人とのコミュニケーションツールとして活用されました。近年では、スマートフォンの普及に伴い、撮影した画像をアプリで管理するサービスも提供されています。また、「シールは不要で画像データだけ欲しい」というニーズに応え、シール印刷なしでデータのみを入手できる機種も登場しました。

しかし、多くのプリクラは、画像のメール受信が日本の大手キャリアに限定されているため、MVNOユーザーや外国人旅行者にとっては使いづらいという問題点も指摘されています。

プリクラの現状

現在、プリクラ業界ではフリューがシェアの大部分を占めており、小型機「arinco」をテレビ局や映画館、観光地などにも販売しています。業界全体としては、高機能化に伴う筐体の大型化により、設置台数は減少傾向にあります。かつては多くのメーカーが参入していましたが、競争激化や経営難により、多くの企業が撤退しました。現在、プリクラ業界を牽引するのはフリューとセガフェイブ、加賀デバイスなどの数社に限られています。

海外展開

アトラスは、海外市場への展開を試みましたが、中国やシンガポールでは事業がうまくいかず、撤退しました。しかし、プリクラは日本独自の「kawaii文化」の一つとして、海外でも認知されています。

まとめ

プリクラは、単なる写真シール機ではなく、1990年代から現代に至るまでの若者文化を象徴する存在です。その技術的な進化、文化的な影響力、そして市場の変遷は、日本のエンターテイメント産業における重要な一例と言えるでしょう。プリクラはこれからも、若者たちの自己表現やコミュニケーションのツールとして、その役割を担い続けるでしょう。

もう一度検索