プリースト…ライヴ!
『プリースト…ライヴ!』(Priest...Live!)は、ヘヴィメタルの重鎮、
ジューダス・プリーストが
1987年に発表した公式ライブアルバムです。彼らにとって、1979年の傑作ライブ盤『
イン・ジ・イースト』以来、実に8年の歳月を経て届けられた待望のライブ作品となりました。
このアルバムは、オリジナル盤として2枚組のアナログLPでリリースされました。特筆すべき点として、前作のライブアルバムである『
イン・ジ・イースト』とは、収録曲が一切重複していません。これにより、前作とは異なる時期のセットリストや、その間に発表された楽曲のライブバージョンを楽しむことができる、ファンにとっては新たなライブ体験を提供する作品となっています。
本作に収録されている音源は、主にアルバム『ターボ』(Turbo)のリリースに伴って
1986年に行われた「Fuel For Life Tour」からのものです。具体的には、アメリカ国内の
ダラス公演と
アトランタ公演でのパフォーマンスが使用されています。これらの音源は、その後
マイアミにてミックスダウンが施され、アルバムとして完成されました。当時のバンドの勢いやライブの臨場感をダイレクトに捉えた録音となっています。
リリース形態には変遷が見られます。初めてCD化された際には、収録時間の都合もあり、1枚のCDにまとめられてリリースされました。しかし、2002年に実施されたリマスター盤では、
ボーナス・トラックとして3曲のライブ音源が追加収録されたことで、再び2枚組のCDとしてリリースされることになりました。このリマスター盤の登場により、より多くのライブ音源が公式に聴けるようになったことは、ファンにとって大きな喜びでした。
追加された
ボーナス・トラックの音源は、アルバム本編のツアーとは異なる時期のものです。「
復讐の叫び」(Screaming for Vengeance)は1982年のメンフィス公演から、「鋼鉄の魂」(Rock Hard, Ride Free)は1984年のロングビーチ公演から、そして「殺戮の聖典」(Hell Bent for Leather)は
1986年の
セントルイス公演から、それぞれ選ばれています。これらのボーナス曲は、バンドのキャリアの異なる時期におけるパフォーマンスの一端を示す貴重な記録となっています。
本作に参加しているメンバーは以下の通りです。
ロブ・ハルフォード:ボーカル
K. K. ダウニング:
リードギター
グレン・ティプトン:
リードギター
イアン・ヒル:ベース
デイヴ・ホーランド:ドラムス
ジューダス・プリーストのライブにおけるパワフルな演奏と
ロブ・ハルフォードの圧倒的なボーカルが、このアルバム全体を通して堪能できます。
以下に、オリジナル盤および2002年リマスター盤の収録曲を示します。
収録曲
(特記なき楽曲は
ロブ・ハルフォード、K. K. ダウニング、グレン・ティプトンの共作)
ディスク1
孤独の叫び - Out in the Cold - 6:51
嵐のハイウェイ - Heading Out to the Highway - 4:53
メタル・ゴッズ - Metal Gods - 4:11
ブレイキング・ザ・ロウ - Breaking the Law - 2:42
誘惑の牙 - Love Bites - 5:27
叛旗の下に - Some Heads Are Gonna Roll (Bob Halligan, Jr) - 4:23
死の番人 - The Sentinel - 5:13
プライヴェイト・プロパティ - Private Property - 4:52
ディスク2
野獣のロックン・ロール - Rock You All Around the World - 4:41
エレクトリック・アイ - Electric Eye - 4:19
ターボ・ラヴァー - Turbo Lover - 5:53
フリーホイール・バーニング - Freewheel Burning - 5:01
ペアレンタル・ガイダンス - Parental Guidance - 4:11
リヴィング・アフター・ミッドナイト - Living After Midnight - 7:24
ユーヴ・ガット・アナザー・シング・カミング - You've Got Another Thing Comin' - 8:05
復讐の叫び - Screaming for Vengeance - 5:55 (1982年メンフィス公演)
鋼鉄の魂 - Rock Hard, Ride Free - 6:42 (1984年ロングビーチ公演)
* 殺戮の聖典 - Hell Bent for Leather (Glenn Tipton) - 4:43 (
1986年セントルイス公演)
『プリースト…ライヴ!』は、
ジューダス・プリーストがそのキャリアにおいて重要な位置を占める1980年代半ばのライブパフォーマンスを真空パックした作品であり、彼らのライブバンドとしての実力を再確認できる一枚と言えるでしょう。