プレジデンツトロフィー

プレジデンツトロフィー（Presidents' Trophy）は、北米のプロアイスホッケーリーグ、ナショナルホッケーリーグ（NHL）において、レギュラーシーズン中に最も優れた成績を収め、リーグ全体で最も多くの勝ち点（ポイント）を獲得したチームに贈られる、非常に栄誉ある賞です。このトロフィーは、1985年に初めて授与されました。

この賞が創設される以前、NHLではレギュラーシーズンの最優秀チームを称える仕組みは存在していましたが、現在のプレジデンツトロフィーという明確な形ではありませんでした。1985年、当時のリーグ運営組織であるNHL理事会は、レギュラーシーズンの長丁場を通して最も一貫して高いパフォーマンスを発揮したチームを公式に表彰する必要性を改めて認識し、新たなトロフィーを設けることを決定しました。これがプレジデンツトロフィーの始まりです。この創設により、それまで存在したレギュラーシーズンチャンピオンへの表彰方法が、この新しいトロフィーの授与という形に置き換えられました。

プレジデンツトロフィーの受賞は、単に多くの試合に勝利しただけでなく、レギュラーシーズンの全日程（通常82試合）を通じて、他のどのチームよりも多くの勝ち点を積み上げたことの証となります。NHLの勝ち点は、試合に勝利すると2ポイント、オーバータイム（延長戦）またはシュートアウトまでもつれ込んで敗れた場合には1ポイントが与えられます。したがって、最も多くの勝ち点を獲得したチームは、レギュラーシーズン全体を通して最も安定した勝率を誇り、リーグ内で最高峰の実力を示したと評価されます。このトロフィーを獲得したチームは、その年のプレーオフであるスタンレーカップ・プレーオフにおいて、全出場チームの中で最高位のシード権を得ることになります。

プレジデンツトロフィーは1985年に創設されて以来、毎年必ず授与されており、「歴代受賞チーム」としてその名を歴史に刻んでいます。これまでに多くの強豪チームがこの賞を獲得しており、その一覧はNHLの記録として重要なデータソースとなっています。歴代の受賞チームをたどることで、その時代にリーグを牽引したチームや、長期にわたって高い競争力を維持してきた組織の歴史を垣間見ることができます。

このプレジデンツトロフィーは、「NHLの賞」体系の一部を構成しています。NHLには、選手の個人成績（例えば得点王に与えられるアート・ロス記念トロフィーや最優秀選手に与えられるハート記念トロフィーなど）や、特定の功績（レディ・ピンクニー・トロフィーなど）、あるいはチーム全体の年間成績を称える様々な賞が存在します。プレジデンツトロフィーは、これらの賞の中でも特に、レギュラーシーズン全体を通じたチームの総合的な卓越性を評価する点で独特の意義を持っています。スタンレーカップがプレーオフのトーナメントを勝ち抜いた「年間王者」に贈られる最終的な目標であるのに対し、プレジデンツトロフィーは、レギュラーシーズンという長距離レースにおける「年間最優秀チーム」という栄誉を称えるものです。

提供された情報に含まれる「脚注」という項目は、辞書や記事において、本文中の特定の情報に対する補足説明や参照元を示すために用いられる一般的な表記です。プレジデンツトロフィーに関する記事においても、具体的な統計データや歴史的事実、出典などを明記する場合に脚注が付記されることがあります。

プレジデンツトロフィーは、NHLにおけるレギュラーシーズンの努力と成功を象徴する重要なトロフィーであり、毎年、レギュラーシーズンを制したチームに贈られる最高の栄誉の一つとして位置づけられています。

もう一度検索