プロオピオメラノコルチン

プロオピオメラノコルチン（POMC）について

プロオピオメラノコルチン（POMC）は、241個のアミノ酸残基から成るポリペプチド前駆体であり、その基は285個のアミノ酸残基からなるプレプロオピオメラノコルチン（pre-POMC）です。pre-POMCは翻訳後のプロセッシングを経て、44個のアミノ酸残基からなるシグナルペプチド配列が切除されることで、最終的なPOMCが形成されます。このPOMC遺伝子は、ヒトの2p23.3染色体に位置づけられています。

POMCの合成

POMCは主に下垂体の前葉と中葉において合成されますが、その他にもいくつかの組織でも生成されます。具体的には、以下の細胞からPOMCが産生されます。

• - 脳下垂体前葉の副腎皮質刺激ホルモン（ACTH）産生細胞
• - 下垂体中葉のメラニン細胞刺激ホルモン（α-MSH）産生細胞
• - 視床下部弓状核に存在する約3000個の神経細胞
• - 視床下部背内側核および脳幹に少数ある関連細胞
• - 皮膚にあるメラニン細胞

翻訳後プロセッシング

pre-POMCは、特定の酵素であるスブチリシン様プロホルモン変換酵素による切断を受け、組織特異的な翻訳後プロセッシングが行われます。POMCのプロセッシング過程には、グリコシル化、アセチル化、及び特定のペプチドの切断が含まれますが、切断の反応箇所は組織によって異なります。

例えば、下垂体前葉でのPOMCの産生においては、4箇所が切断されて副腎皮質刺激ホルモン（ACTH）およびβ-リポトロピン（β-LPH）が生成されます。加えてPOMCには、少なくとも8つの切断可能な箇所が存在しており、これにより最大で10種の活性ペプチドが生成される可能性があります。

これらのペプチドには以下のものが含まれます。

• - N-末端ペプチド（pro-γ-MSH）
• - γ-メラニン細胞刺激ホルモン（γ-MSH）
• - 副腎皮質刺激ホルモン（ACTH）
• - α-メラニン細胞刺激ホルモン（α-MSH）
• - コルチコトロピン様中間ペプチド
• - β-リポトロピン（β-LPH）
• - γ-リポトロピン（γ-LPH）
• - β-メラニン細胞刺激ホルモン（β-MSH）
• - β-エンドルフィン
• - メチオニン-エンケファリン

これらの切断は、アミノ酸の配列であるArg-LysやLys-Argから行われ、POMCペプチドのプロセッシングに関与する主な酵素には、プロホルモン変換酵素1（PC1）、プロホルモン変換酵素2（PC2）、カルボキシペプチダーゼE（CPE）、ペプチジルα-アミデートモノオキシゲナーゼ（PAM）、N-アセチルトランスフェラーゼ（N-AT）、およびプロリルカルボキシペプチダーゼ（PRCP）などが含まれています。

関連項目

• - メラノコルチン
• - アファメラノチド
• - メラノタン II

このように、POMCはさまざまな生理的な機能を持つ重要なホルモン前駆体です。その合成やプロセッシングの理解が、医学や生理学の分野でますます重要視されています。

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