プログラムピクチャー

プログラムピクチャーについて

プログラムピクチャーとは、特定の映画会社がその製作、配給、興行を一手に担当する形態の映画を指します。この概念は主に1950年代から1970年代の日本映画において重要な役割を果たしました。当時、映画館での上映スケジュールは映画会社の決定に従い、年間の上映日程もそのスケジュールに沿って組まれていました。

定義と歴史

プログラムピクチャーという言葉は、アメリカで1910年代半ばに一般的になりましたが、その使用法は国や時代によって異なる場合があります。特に日本では1950年代から1970年代にかけて、多数の作品がこの形態で上映されました。この映画形式は、主に興行のために製作された比較的並みの作品、いわゆるB級映画のような位置付けとも捉えられることがありますが、実際には人気俳優を中心とした多くのヒットシリーズも含まれています。

日本の場合、特定の映画制作会社、特に東映がこのプログラムピクチャーの量産において中心的な役割を果たしました。興行する映画館は、映画界での人気と興行収入を保つために、常に一定のラインナップを維持することが求められ、映画製作会社はそのニーズに応える形で、効率的な映画製作体制を構築しました。これが「ブロックブッキング」と呼ばれる仕組みを形成しました。

映画興行の特徴

1950年代前半、日本映画は二本立て興行が一般化しました。この仕組みでは、映画館は観客に2本の映画を同時に提供し、製作会社はその興行収入を確保するために、人気俳優やスタッフを効率的に配置するノウハウを駆使しました。特に東映は、時代劇や任侠映画を中心に多くの作品を制作し、人気スターを揃えることが成功の秘訣とされました。

しかし、アメリカでは1948年に独占禁止法に基づくパラマウント訴訟の影響から、自社の映画館を持たなくなり、映画会社は単発の作品ごとに勝負せざるを得なくなりました。それに対し、日本のプログラムピクチャーは、長編の映画を入れ替えで上映する形を取ることで、独特の文化が形成されました。

日本映画の量産体制

日本映画が繁栄していた1950年代後半、特に東映による時代劇やヤクザ映画は、量産体制の中で制作されていました。年間で100本以上の映画が製作され、市場に投入されたことで、興行収入の安定化が図られました。このルーチンな制作スタイルは、往々にして同じようなストーリーやパターンが繰り返されることが多く、映画の内容はどうしてもマンネリ化しがちでした。

その後、黒澤明などの監督が制作した独自性のある映画が注目されるようになり、従来の量産体制にも変化が求められるようになりました。徐々に観客の嗜好が変わる中で、プログラムピクチャーの重要性は薄れていき、1970年代に入るとその形態は大きく変わることとなります。

結論

プログラムピクチャーは、日本映画の黄金期における興行生態系を形成し、映画の配給と興行に大きな影響を及ぼしました。このシステムがあったからこそ、多くの作品が生まれ、人気シリーズが育ち、そして映画文化が花開いたのです。しかし時代と共にその役割が変化し、最終的には衰退の道を辿ることとなります。映画界のこの歴史的な変遷は、今の日本映画業界にとっても重要な教訓となっていることでしょう。

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