プログレスM-08M

プログレスM-08M

プログレスM-08Mは、国際宇宙ステーション（ISS）への重要な補給活動に使用されたロシアの無人宇宙補給船です。NASAでは「プログレス40」（略称：40P）と呼ばれています。RSC Energiaで製造され、ロシア連邦宇宙局によって運用されました。本機はProgress-M 11F615A60型式としては8番目、2010年打ち上げのプログレス補給船としては5番目の機体です。

打ち上げ準備

本ミッションの準備は、打ち上げの約3ヶ月前からカザフスタンのバイコヌール宇宙基地で進められました。2010年7月24日に打ち上げに使用されるソユーズ-Uロケットが、9月3日には補給船本体であるプログレスM-08Mが基地に到着しました。

打ち上げ前最終段階として、10月22日に補給船を格納するペイロードフェアリングが移送され、10月23日にロケット本体との結合が行われました。10月25日には、補給船を搭載したソユーズ-Uロケットが組立施設から発射台へ移送・設置されました。

打ち上げと軌道投入

プログレスM-08Mを搭載したソユーズ-Uロケットは、2010年10月27日協定世界時（UTC）15時11分50秒にバイコヌール宇宙基地から順調に打ち上げられました。ロケットの飛行は計画通りに進み、機体は無事に地球周回軌道へ投入されました。

ISSへのドッキング：手動操作による成功

軌道投入後、プログレスM-08MはISSへのランデブーを開始しました。ISSとのドッキングは、打ち上げから数日後の10月30日協定世界時16時36分に予定されていましたが、ロシアの自動ドッキングシステム「クルス」に不具合が発生したため、ISS側からの手動操縦に切り替えられました。ISSクルーは遠隔手動操縦システム「TORU」を用いてプログレスM-08Mを操作し、見事にドッキングを成功させました。プログレスM-08Mは、第25次長期滞在中にISSに結合し、続く第26次長期滞在期間中の2011年1月23日にドッキング解除されるまでISSに留まりました。

搭載された補給品

プログレスM-08MがISSへ運んだ物資の総量は、合計で2,572キログラムでした。これらの補給品は、ISSでの生活維持、運用、科学活動に不可欠なものです。主な搭載内容は以下の通りです。

飲料水、推進剤、酸素、空気
食糧（宇宙食、生鮮食品）、医薬品、衣服、衛生用品
実験ペイロード（Molniya-Gamma、Coulomb Crystalハードウェアなど）
交換修理品、予備部品

ISSからの分離と再突入

ISSでの任務を終えたプログレスM-08M（40P）は、2011年1月23日米国中部標準時午後6時42分（日本時間：2011年1月24日午前9時42分）にISSから分離されました。分離後、プログレスM-08Mは軌道を離脱する制御燃焼を行い、地球大気圏へと再突入しました。機体の大半は大気圏突入時の高熱で燃え尽き、ミッションを完了しました。

このプログレスM-08Mミッションは、自動システムの不具合時にもISSクルーの手動操作によってドッキングを成功させた事例として、宇宙開発における対応能力の重要性を示すものとなりました。

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