プログレスM-8

プログレスM-8（Progress M-8）は、1991年に当時のソビエト連邦によって開発・運用された無人の補給船であり、軌道上のミール宇宙ステーションへ物資を輸送する重要な役割を担いました。

これは、ミール宇宙ステーションへ向かった全64機のプログレス補給船のうち、26番目に打ち上げられた機体にあたります。使用されたのはプログレス-M型（正式形式名11F615A55）で、機体のシリアル番号は207番でした。

搭載貨物

本機には、ミールEO-9として活動していた宇宙飛行士たちのために、生存に不可欠な食料、水、そして酸素が積み込まれていました。さらに、様々な科学研究に用いられる物品や、宇宙ステーションの軌道を維持・調整するためのマニューバ用燃料も搭載されました。

特筆すべき搭載物としては、「Naduvaniy Hazovoy Ballon」と呼ばれる特殊な衛星も含まれていました。この衛星は、プログレスM-8がミールにドッキング中に、宇宙ステーションから軌道上へ放出されました。

運用

プログレスM-8の打ち上げは、1991年5月30日、グリニッジ標準時（GMT）8時4分3秒に行われました。カザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地の1/5発射台から、ソユーズ-U2ロケットに搭載されて宇宙へと旅立ちました。

打ち上げから約2日間の自動航行を経て、本機は同年6月1日GMT 9時44分37秒に、目標であるミール宇宙ステーションへのドッキングに成功しました。ドッキング先は、ミールの中核モジュール（コアモジュール）の前方ポートでした。

プログレスM-8がミールに結合していた約75日間、宇宙ステーションは地球を周回する軌道上にありました。この期間中、ミールの軌道高度はおよそ391kmから394kmの間を保ち、軌道傾斜角は約51.6度でした。

約2ヶ月半に及ぶ補給任務と結合期間を終え、プログレスM-8は1991年8月15日GMT 22時16分59秒にミールからドッキングを解除しました。ミールを離れた後、本機は翌日に制御された軌道離脱マヌーバを実行し、同年8月16日GMT 6時59分32秒頃に太平洋上空で大気圏に再突入。その際に機体は燃え尽き、運用を終了しました。

プログレスM-8は、ミール宇宙ステーションの長期滞在クルーの生命維持と科学活動を支え、 station の安定した運用に不可欠な役割を果たしました。また、独自のペイロードとして小型衛星を放出する能力も示しました。

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