プログレスM1-10

プログレスM1-10

プログレスM1-10は、国際宇宙ステーション（ISS）へ必要な物資を届けるために運用された、ロシアの無人宇宙補給機です。2003年、ロシア連邦宇宙局によって打ち上げられ、その重要な役割を果たしました。NASAでは、この機体を「Progress 11」あるいは「11P」といった名称でも区別しています。これはプログレス-M1型（正式には11F615A55型）に属し、製造時のシリアル番号は259番として記録されています。

軌跡を追う：ミッション運用詳細

プログレスM1-10の物語は、2003年6月8日の朝に始まります。協定世界時（GMT）で10時34分、カザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地の1/5発射台から、信頼性の高いソユーズ-Uロケットに搭載されて宇宙へと旅立ちました。

宇宙空間での3日間にわたる旅の後、2003年6月11日11時14分53秒（GMT）、M1-10はISSとのランデブーに成功し、ピアースモジュール（ドッキング室）への結合を果たしました。このドッキングは約3ヶ月間という比較的長い期間にわたり維持されました。

ステーションに結合している間、プログレスM1-10はISSの機能維持に貢献するとともに、後続の有人宇宙船ソユーズTMA-3の到着に備えるための準備として、2003年9月4日19時41分44秒（GMT）にISSからの分離が行われました。

ISSから離れた後も、プログレスM1-10のミッションはすぐに終わりませんでした。およそ1ヶ月の間、単独で軌道上に留まり、地球を観測する科学ミッションを実施しました。これは、補給船としての主目的を終えた後の追加的な運用として行われたものです。

全ての任務を終えたプログレスM1-10は、最終的にその寿命を全うしました。2003年10月3日11時26分（GMT）ごろ、軌道を離脱する操作が開始され、大気圏へと再突入しました。機体の大半は太平洋上空で燃え尽きましたが、燃え残った一部は同日12時38分49秒（GMT）に海上に落下しました。こうして、プログレスM1-10の宇宙での活動は完全に終了しました。

宇宙ステーションへの贈り物：搭載貨物

プログレスM1-10がISSへと届けた貨物は多岐にわたります。当時ISSに滞在していた第7次長期滞在クルーのために、生存に不可欠な物資が搭載されていました。これには、食料品や飲料水、呼吸に必要な酸素などが含まれていました。

さらに、宇宙での科学研究を進めるための様々な実験装置類も積まれていました。これらの機器は、宇宙環境での研究活動を継続・拡大するために不可欠なものです。

加えて、ISS自身の軌道を維持したり、高度を調整したりするために使用される燃料も重要な貨物の一つとして搭載されていました。宇宙ステーションの安定運用には、このような推進剤の定期的な補給が欠かせません。

プログレスM1-10は、これらの多種多様な物資を確実にISSへ届け、ステーションの長期滞在クルーの生活と科学活動、そしてステーション自体の運用維持に大きく貢献したのです。

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