プログレスM1-1

プログレスM1-1は、ロシア連邦宇宙局が開発・運用した無人の補給船であり、特に2000年に老朽化が進んでいたミール宇宙ステーションへの物資補給という重要な任務を担いました。この機体は、従来のプログレス補給船を改良し、燃料輸送能力を高めた新型であるプログレスM1型の記念すべき初号機（製造番号250）として製造されました。

このプログレスM1型は、加圧貨物よりも燃料の輸送に最適化されており、将来的には国際宇宙ステーションへの補給を見据えて開発されたプログレス-M型の派生型でした。プログレスM1-1はその技術的検証も兼ねたフライトであったと言えます。

プログレスM1-1は、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地にある1/5番発射台から、ソユーズ-Uロケットによって宇宙へと旅立ちました。その正確な打ち上げ日時は、協定世界時（GMT）で2000年2月1日06時47分23秒でした。

地球軌道に到達した後、プログレスM1-1はミール宇宙ステーションへのランデブー軌道に入り、打ち上げから約2日後の2000年2月3日08時02分28秒（GMT）に、当時無人状態だったミールへのドッキングを成功させました。ドッキングに使用されたポートは、ミールに接続されているクバント1モジュールの船尾側ポートでした。

ミールにドッキングしている間、プログレスM1-1は様々な物資をステーションに届けました。その主な目的の一つは、ステーションの軌道維持に必要な燃料の供給でした。当時、ミールは徐々に軌道が低下する傾向にあったため、プログレスM1-1のスラスタを用いたリブースト（軌道上昇）は不可欠な作業でした。

また、ステーション内部で発生した空気漏洩により気圧が低下していた状況に対し、プログレスM1-1は再加圧用の窒素ガスを運び込みました。さらに、2000年4月にはミールEO-28ミッションの乗員がステーションに滞在しており、彼らの活動に必要な食料や消耗品、実験装置などもプログレスM1-1によって届けられました。

プログレスM1-1は、ミールへのドッキングを約83日間継続し、ステーションの運用を多角的に支えました。

約3ヶ月にわたるミールとの結合期間を終え、次の補給船であるプログレスM1-2の到着準備のため、プログレスM1-1はミールからの分離を行うことになりました。ドッキング解除は、2000年4月26日16時32分43秒（GMT）に実施されました。

ミールから安全に離脱した後、プログレスM1-1は制御された軌道離脱マヌーバを開始しました。軌道離脱を開始したのは、ドッキング解除から約3時間後の19時26分03秒（GMT）でした。その後、地球大気圏への再突入を果たし、その機体は熱によって分解・燃焼しました。

燃焼せずに残った破片は、太平洋上の予定された海域に落下したと見られています。この最後のマヌーバから大気圏突入・燃焼までの時間は、およそ50分間でした。プログレスM1-1は、ミール宇宙ステーションの末期の運用を支えた重要な役割を担った補給船として、宇宙開発史にその名を刻んでいます。

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