プログレスMS-13

プログレスMS-13：国際宇宙ステーションへの補給任務
ロシアの宇宙機関ロスコスモスが開発・運用する無人補給船「プログレスMS-13」（ロシア語名: Прогресс МC-13、製造番号443、NASA呼称: プログレス74P）は、国際宇宙ステーション（ISS）への重要な物資輸送を担った宇宙機です。プログレスシリーズとしては165回目の飛行にあたり、ISS滞在クルーの生命維持や科学実験に必要な様々な貨物を届けました。

機能強化されたMSシリーズ
プログレスMSは、先行するプログレスMをベースに、航法、通信、安全性の各面で改良が施された最新世代の補給船です。2015年12月に初飛行したMSシリーズは、以下のような先進機能を備えています。
人工衛星放出が可能な外部コンパートメント（MS-03以降）。
ドッキング機構の冗長性を高める予備電気モーター。
微小隕石防護を強化した貨物コンパートメント。
ルーチ中継衛星経由での通信能力。
GNSSを用いた自律航法。
ISSとの直接無線データ通信。
ドッキング用TV視野を改善するデジタル無線システム。
主要な無線システムのアナログからデジタルへの置き換え。

打ち上げとISSへのドッキング
プログレスMS-13の打ち上げは、度重なる計画変更を経て、2019年12月6日協定世界時（UTC）午前9時34分11秒に、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地31/6番射点から実施されました。ISSへのドッキングにあたっては、他の宇宙機の運用と干渉しないよう、通常より長い3日間のランデブー軌道を選択。打ち上げから3日後の2019年12月9日UTC午前10時38分に、ISSのピアース・モジュールへ無事接続されました。

搭載貨物
プログレスMS-13は、ISSのクルーが必要とする合計約1362 kgの貨物を搭載しました。貨物の内訳は以下の通りです。
搭載システムハードウェア: 502 kg
医療資材: 29 kg
個人保護具: 66 kg
サニタリー・衛生用品: 271 kg
修理・整備用機器: 9 kg
食料: 271 kg
乗員サポート手段: 25 kg
その他のペイロード: 102 kg
NASA貨物: 87 kg

デブリ回避運用
ISSにドッキング中の重要な任務として、宇宙デブリとの衝突リスク回避のための軌道変更が実行されました。2020年7月3日UTC、接近予測されたデブリからISSを守るため、プログレスMS-13のエンジンを用いてISSの軌道を約1キロメートル上昇させるCOLA燃焼が行われました。これはISSにとって数年ぶりのデブリ回避マヌーバでした。

* 任務完了と再突入
ISSでの補給および軌道制御という役割を終えたプログレスMS-13は、2020年7月8日にISSからドッキングを解除しました。その後、地球の大気圏へ誘導され、同日中にその大部分が燃え尽き、残骸はニュージーランド東方沖の南太平洋上へ落下するよう制御されました。プログレスMS-13の離脱により、ピアース・モジュールは後続の補給船プログレスMS-15（2020年7月23日打ち上げ）を受け入れる準備が整いました。

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