プロトン・ワジャ

プロトン・ワジャ：マレーシアが世界に発信した独自開発車

2000年8月、マレーシアの自動車メーカー、プロトン社は新たなモデル「ワジャ (Waja)」を発表しました。この車は、マレーシアの自動車産業にとって大きな転換点を意味するモデルとなりました。それは、ワジャがマレーシアで初めて独自に開発された乗用車だったからです。

開発の背景と技術

ワジャの開発は1990年代後半からスタートし、プロトン社独自のエンジン「カンプロエンジン」との同時開発を目指していました。しかし、カンプロエンジンの開発が遅れたため、ワジャの発売当初は三菱自動車の信頼性の高い1.6L直列4気筒SOHCエンジン（4G18型）を搭載することとなりました。このエンジンは、スムーズな走りで定評があり、ワジャの販売にも貢献しました。

その後、2002年にはルノー製の1.8L DOHCエンジン（F4P型）を搭載したモデルも追加されました。しかし、マレーシア市場では欧州車のエンジンに対する信頼感が低かったため、販売実績は芳しくなく、翌年には生産を終了しました。トランスミッションは、1.6Lモデルでは5速MTと4速AT、1.8Lモデルでは4速ATが用意されました。

モデルバリエーションとフェイスリフト

ワジャは発売後も改良が重ねられました。2006年中頃には一度目のフェイスリフトを行い、テールライトのデザインを変更。さらに2007年1月には二度目のフェイスリフトを実施し、フロントグリルを刷新しました。

ワジャの高級版として、2005年末には「ワジャ・チャンセラー (Waja Chancellor)」が登場しました。このモデルは、プロトンの高級車「ペルダナV6」にも搭載されている三菱製の2L V型6気筒エンジン（6A12型）を搭載し、ホイールベースも延長されています。より快適な走りを実現したモデルですが、2007年のフェイスリフトは行われず、フロントグリルは初期モデルのデザインが踏襲されました。トランスミッションは4速ATのみの仕様でした。

輸出と車名の由来

ワジャはマレーシア国内だけでなく、海外市場にも進出しました。2001年4月にはイギリス市場へ「インピアン (Impian)」の車名で輸出されました。「Waja」はマレー語で「硬さ」を意味しており、ボディの堅牢性を表しています。一方、「Impian」はマレー語で「夢」を意味し、イギリス市場におけるプロトンのブランドイメージ戦略が反映されています。

まとめ

プロトン・ワジャは、マレーシアの自動車産業が独自技術を確立しようとした歴史の一端を示す重要なモデルです。三菱との技術提携を基盤としながらも、独自の開発努力によって生み出されたワジャは、マレーシア国内だけでなく、海外市場においてもプロトンの存在感を高めることに貢献しました。様々なバリエーションやフェイスリフトを経て、プロトンは更なる技術革新へと歩みを進めていきました。 ワジャの成功は、マレーシアの自動車産業の発展に大きく寄与したと言えるでしょう。

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