プロンビエールの密約

プロンビエールの密約

プロンビエールの密約（Accordi di Plombières、Entrevue de Plombières）は、19世紀のイタリア統一戦争において、フランス帝国とサルデーニャ王国の間で結ばれた極秘の合意です。この密約は1858年7月21日に、サルデーニャ首相のカミッロ・カヴール伯爵とフランス皇帝ナポレオン3世の首脳会談を通じて結成されました。この合意によって、サルデーニャはフランスに対して国境地域を譲渡する代わりに、軍事支援を受けることとなり、結果的にロンバルディアの獲得に成功しました。

背景

19世紀中頃、イタリア統一は様々な政治的動きの中心にありました。特に重要なのは、オーストリア帝国が支配する北イタリアのロンバルディア・ヴェネツィアがサルデーニャ王国にとって重要な地域であったことです。この地域を取り戻すことは、イタリア統一を達成するために不可欠でありました。しかし、カヴールはサルデーニャ単独でオーストリアと戦うことは困難であると判断しました。

彼は当時進行中のクリミア戦争に参加し、フランスとイギリスとの関係を強化しました。その後、フランスのナポレオン3世に対し、軍事支援を求めることに決めました。この時期、ナポレオン3世自身もイタリア統一運動に関心を持っており、サルデーニャとの接触は両者にとって有益でした。

合意内容

プロンビエールでの密約において、両国は以下の内容に合意しました。

• - サルデーニャ王国は、フランスに国境地域（サヴォワやニースを含む）を譲渡する代わりに、フランスからの軍事援助を受けること。
• - サルデーニャが北イタリアを支配し、中部イタリアや南部の両シチリア王国は独立を維持すること。
• - また、サルデーニャ国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の娘とナポレオン3世の従弟ナポレオン公との結婚についても合意されました。

結果

この密約の後、フランス軍の支援を受けたサルデーニャはロンバルディアの奪還に成功します。しかし、その後の国際情勢の変化によりナポレオン3世は、オーストリアとの単独講和を選択しました（ヴィッラフランカの講和）。この結果、サルデーニャは中部イタリアの併合を進めましたが、フランスは約束どおりサヴォワとニースの割譲を求め、両地域はフランスに譲渡されることとなります。

このように、カヴールの外交政策は新しい領土を獲得するたびにフランスに領土を譲るという難題に直面しました。また、ニース出身の革命家ガリバルディはこの政策に反発し、後に自身の力で両シチリア王国を占領するに至ります。

1861年にイタリア王国が一応の統一を達成した後も、サルデーニャはフランスとオーストリアという二大国をドイツ統一の障害と考え、プロイセン王国との同盟関係を築くこととなります。

密約の場所

カヴールとナポレオン3世が密談を行ったプロンビエール・レ・バンは、フランスのヴォージュ県に位置する温泉地で、ナポレオン一族の保養地でもありました。密約の場は村内の「皇子たちの館」（Pavillon des Princes）でした。

このように、プロンビエールの密約はイタリア統一の過程で重要な役割を果たし、国際的な力学が絡んだ結果を生むことになりました。

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