ヘアー (ミュージカル)

ミュージカル『ヘアー』について

『ヘアー』（Hair）は、特に1960年代後半から1970年代初頭にかけて上演された重要なミュージカルです。初めてオフ・ブロードウェイで上演されたのは1967年で、翌1968年にはブロードウェイにも進出しました。また、2009年3月にはブロードウェイでのリバイバル上演が行われています。この作品は、脚本や作詞を手掛けたジェームズ・ラドとジェローム・ラグニ、音楽を担当したガルト・マクダーモットにより創り上げられました。

作品の背景

『ヘアー』は、アメリカの若者たちが直面していたベトナム戦争の影響を描いています。舞台は、戦争のために多くの若者が徴兵される中、自由を謳歌するヒッピーたちの日常を背景としています。その主人公であるクロードは、召集令状が届くと、仲間に反戦を訴えられます。この作品は、若者たちの強烈な反戦メッセージと、当時のヒッピー文化をリアルに描写しており、ラブ＆ピースやサイケデリック体験などヒッピー的社会運動が色濃く反映されています。

特徴とスタイル

作品の大きな特徴として、ロック音楽とミュージカルの融合が挙げられます。『ヘアー』はロック・ミュージカルの先駆けとして、劇中には多くのヒッピーたちが「tribe（部族）」と呼ばれ、彼らの生活様式や哲学が表現されています。また、ヒッピーたちが象徴する長い髪やフリーセックス、精神的な探求などもこの作品の重要なテーマです。

この作品が持つメッセージは、1967年のニューヨーク・パブリック・シアターでの初演時から注目を集め、1968年のブロードウェイ進出後も多大な人気を誇りました。ロック音楽による斬新な演出や、前衛的な劇中の演技（全裸シーンなど）によって、作品は数々の国で上演され、広く受け入れられることとなりました。

受賞歴と影響

『ヘアー』は、非常に評判が良く、フィフス・ディメンションによるメドレー「Aquarius〜Let The Sunshine In」は1969年のグラミー賞を受賞しています。また、1979年には映画化され、ミロス・フォアマンが監督を務めることによって、さらにその名を広げました。

リバイバル版は2009年にブロードウェイで再度注目され、トニー賞を8部門にノミネートされるなど、多くの賞を受賞しました。この新たな上演は、オリジナルキャストにも大きな影響を与え、国際的なツアーやロンドンの上演にもつながりました。

日本での上演

日本での『ヘアー』は、川添象郎によって持ち込まれ、1969年12月に渋谷東横劇場で初演されました。加橋かつみがクロード役として出演し、東洋の文化を融合した魅力ある公演が行われました。しかし、初回公演後に関与していたキャストが逮捕されるなど、様々なトラブルにも見舞われました。

このように、『ヘアー』はただのエンターテインメントではなく、社会的・文化的なメッセージを持った重要な作品であることがわかります。時代を超えて今なお多くの人々に支持され続けるミュージカルとして、その影響力は色あせることがありません。

もう一度検索