ヘイバル作戦

ヘイバル作戦

ヘイバル作戦（ヘイバルさくせん）は、イラン・イラク戦争の最中に行われた、イラン軍のイラク・マイサーン県に対する攻撃作戦です。この作戦は、特に秘密裏に進められた戦略的な作戦であり、名称にも作戦秘匿名（秘匿名ヤ・バハラ作戦）が付されたため、その重要性を示すものとなりました。

作戦の背景

イラン軍は、イラクの主要な補給路であるバスラ街道を遮断する目的で動いており、この計画の一環としてハウイザ湿原越えの攻勢作戦、すなわち第6次ヴァル・ファジュル作戦を行いました。この攻撃は、より大規模な作戦を支えるために必要とされ、本作戦の実施が決定されました。この時期、イラン軍は着実な準備運動を行い、軍の士気を上げるための対策を講じていました。

攻撃の展開

ヘイバル作戦において、イラン空軍は前年から地上攻撃に参加していない主力部隊を投入しましたが、アメリカからの部品供給が途絶えていたため、その動きは不安定でした。湿地帯での戦闘だったため、主に歩兵による戦いが展開され、イラン軍の進撃は遅れがちでした。それでも、イラク軍は機甲部隊による攻撃が困難だったため、イラン軍の人海戦術に苦しむことになりました。

イラク軍は、ヘリコプターや航空機からの支援を得ることで状況を改善しようとしましたが、マジヌーン島の攻防戦ではイラン軍が優位に立ちました。イラク軍が劣勢に立たされたこの局面は、その後の展開に大きな影響を及ぼします。

作戦後の情勢

ヘイバル作戦の結果、イラク軍はマジヌーン島を失いましたが、イラン軍の進攻を阻止し続けることができました。この情勢の背景には、ソ連やフランスからの武器供給があり、イランが武器供与禁止措置を受けていたことが影響して、イラク側が次第に優位となっていきました。

さらに、この2月の攻勢以降、イランにおける戦争の指導方針を巡る対立が激化し、国民の間にも厭戦気分が広まり始めました。毎回の作戦において多くの武器、弾薬が消費され、人的資源も浪費される中で、イラン軍の士気や能力は低下し続けました。

この時期、イラン・イラク戦争は泥沼化し、両国の情勢は一層厳しいものとなっていきました。戦争指導部と国民の間の信頼は揺らぎ、戦争の勝利に対する期待は薄れていく一方でした。これらの要素が絡み合い、イランは新たな戦略の模索を迫られました。

参考資料

本作戦に関する詳細な情報は、鳥井順の『イランイラク戦争』、松井茂の『イラン-イラク戦争』、ケネス・ポラックの『ザ・パージアン・パズル 上巻』などの文献で確認できます。これらの資料では、戦争の背景や戦局、各国の関与について詳しく述べられています。また、中東戦争や冷戦、オイルショック、石油輸出国機構等、関連する歴史的な文脈も理解するのに役立つでしょう。

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