ヘウレーカ

ヘウレーカ (HEUREKA)

『ヘウレーカ』は、岩明均による全6話の歴史漫画で、古代ローマ時代を舞台としている。この作品のタイトル「ヘウレーカ」は、アルキメデスが自身の原理を発見した際に叫んだ言葉で、古代ギリシャ語で「見つけた！」という意味を持つ。物語は紀元前3世紀後半のシチリア島にある都市シラクサを中心に展開する。

物語のあらすじ

物語の主人公、スパルタ人ダミッポスは故郷の混乱から逃れてシラクサに落ち着く。そこで出会ったのが、シラクサを心から愛するローマ人女性、クラウディアである。しかし、彼らが身を置く時代はローマとカルタゴの第二次ポエニ戦争が激化しており、シラクサは親ローマ派と親カルタゴ派に divided され、運命に翻弄されていく。

カルタゴの将軍エピキュデスがシラクサに戻り、クーデターを起こして親ローマ派が排除されると、ローマとの長年の同盟は破綻を迎える。ダミッポスとクラウディアはローマ側の学者アルキメデスのもとで保護を求めるが、ローマはここで対抗するために大軍を送り込む。アルキメデスが開発した防衛兵器がローマ軍を押しとどめ、シラクサの人々は生死をかけた戦いに挑むことになる。

登場人物

• - ダミッポス: スパルタの出身でありながら、見かけは優男。軍事的な能力よりもその頭脳でアルキメデスに重用される。彼は口才にも自信があって、スパルタ人としては珍しく雄弁な性格だ。
• - クラウディア: シラクサに住むローマ人女性。ダミッポスと親しく、シラクサに対する愛情を持ちながらも、親ローマ派の苦境に立たされている。
• - アルキメデス: 天才学者であり、シラクサの防衛陣地に優れた兵器を設計した人物。晩年は認知症の兆候が見え始めており、ダミッポスを弟子と勘違いすることもある。
• - エピキュデス: シラクサの軍司令官として戻った野心家。実際にはカルタゴ派であり、ローマ派の排除に動く。
• - マルケルス: ローマの軍司令官で、「ローマの剣」と呼ばれた名手。再び戦場に出て、アルキメデスの兵器に頭を悩ますことになる。

書誌情報

『ヘウレーカ』は、2001年から2002年にかけて『ヤングアニマル増刊Arasi』で連載され、その後単行本として発刊された。日本語版の他にも、中国語、朝鮮語、フランス語、イタリア語の訳本も出ている。さらに、2013年にはラジオドラマとしても製作された。

この作品は、歴史的背景を基にキャラクターの心情や葛藤を描き、戦争と愛、そして知恵の重要性を訴えかける深い内容を持っている。

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