スパルタ

スパルタの概要

スパルタは古代ギリシャのドーリス人によって築かれた都市国家で、現代のペロポネソス半島南部に位置していました。自らを「ラケダイモーン」と称し、特に軍事力と厳格な教育制度で知られ、歴史の中で重要な役割を果たしました。特にペルシア戦争ではその軍事力を発揮し、ギリシア全体に対する影響力を誇示しました。

名称と地理

「スパルタ」という名はドーリス語のΣπάρταに由来し、アッティカ方言では「スパルテー」と呼ばれます。この都市はエウロタス河の近くに存在し、周囲のラコーニアとメッセニアを支配していました。スパルタは、強固な陸軍によって攻撃を防ぐ考え方が一般的であり、そのため防御的な城壁を持たなかったのが特徴です。

歴史的背景

成立と社会制度

スパルタの起源は紀元前10世紀に遡ります。当時、北方から侵入したドーリス人は、ミュケナイ文明のアカイア人を征服し、これを奴隷化しました。また、伝説によれば紀元前1104年にはエウリュステネスがスパルタを建国したとされています。8世紀から7世紀にかけての無法状態を経て、リュクルゴスという立法者のもとで制定された社会制度は、土地の均等配分や長老会、共同食事制などを含み、特に「スパルタ教育」として知られる厳しい教育制度を確立しました。

メッセニア戦争

スパルタは743年にメッセニアを征服し、これによって広大な土地を獲得しました。この征服により、スパルタは強国としての地位を固めましたが、反乱を防ぐためにヘイロタイと呼ばれる奴隷層を厳しく管理しました。スパルタは第二次メッセニア戦争（685年）での勝利も含め、ヘイロタイに対する厳しい取締りを続けます。

ペロポネソス同盟とペルシア戦争

スパルタは6世紀にペロポネソス同盟の盟主となり、5世紀初頭にはペルシア戦争でアテナイと手を組み、戦闘で数多くの英雄を生み出しました。特にテルモピュライの戦いでのレオニダス1世の勇敢な戦闘は有名です。この戦争によってスパルタの無敵の名声は確立されました。

ペロポネソス戦争と市民生活

紀元前460年からアテナイとの戦争が続き、ペロポネソス戦争を経て、最終的にはスパルタが勝利を収めました。この勝利は一時的に栄光をもたらしましたが、急激な経済成長がスパルタの内部に格差を生み出し、団結が揺らぎました。

ローマへの属州化

紀元前146年、ローマによる征服でスパルタは独立性を失い、属州アカエアに組み込まれました。しかし、スパルタとアテナイはある程度の自治を保持しました。395年には西ゴート族による攻撃を受け破壊され、その後キリスト教の都市として再建されます。

政治と社会制度

スパルタの政治構造は二人の王によって運営され、世襲制が採られていました。長老会と民会から構成され、重要な決定が行われました。また、スパルタ教育によって育成された少年たちは、7歳で家を離れ共同生活を送ります。成人すると軍事活動に参加し、共同食事を通じて団結が強められました。ここでは結婚も制度化され、一夫多妻制や一妻多夫制が行われていました。

スパルタの文化

スパルタの文化や社会制度は、他のギリシア都市とは明らかに異なり、独特の重装歩兵軍事力と緊密なコミュニティが特徴でした。スパルタはその軍事的勝利と厳格な教育制度によって、古代ギリシャの歴史に名を刻んでいます。

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