ヘクサムの戦い

ヘクサムの戦い：薔薇戦争におけるランカスター派終焉の地

ヘクサムの戦いは、1464年5月15日にノーサンバーランドのヘクサム近郊で行われた、薔薇戦争における重要な戦いの一つです。この戦いは、エドワード4世の治世初期に発生し、北イングランドにおけるランカスター派の主要な抵抗を終焉させる決定的な出来事となりました。

戦いの背景

ヘッジレイ・ムーアの戦いの後、ランカスター派はヨーク派がスコットランドとの和平交渉を完了させるのを阻止できませんでした。ヨーク派とスコットランドとの和平が成立すると、ランカスター派は北の拠点としての地位を脅かされることになります。そこで彼らは、エドワード4世の大軍が北進を開始する前に、国内のランカスター派の支持を集めるべく軍事行動を開始しました。

サマセット公の指揮下、ランカスター派軍は1464年4月下旬にノーサンバランドを通過し、各地のランカスター派駐屯地から支援を受けつつ、5月初旬にはヘクサム近郊に駐屯しました。一方、エドワード4世の前衛を率いるモンターギュ卿率いるヨーク派軍は、急ぎ北へと進軍し、5月14日にヘクサムの町外れで両軍が衝突しました。

戦闘の経過

戦闘の詳細な位置、編成、兵力、具体的な出来事については不明な点が多いものの、この戦いは比較的無血であったと考えられています。

ランカスター派の陣地は、ヘクサムのやや南、デヴィルズ・ウォーターに架かるリネルズ橋の近くにありました。ヨーク派は5月12日、13日の夜にタイン川の南岸を越え、14日の朝にはヘクサムを攻撃可能な位置に布陣しました。ヨーク派の進軍があまりにも速かったため、ランカスター派は十分な戦闘準備をする時間を与えられなかったようです。

サマセット公は急いで軍をリネルズ橋付近まで移動させ、横一列に3つの部隊を配置するよう再編成しました。彼はヨーク派がヘクサムに進入する前に、なんとか町外で戦闘を行うことを目指していました。しかし、ランカスター派よりも早く陣形を完了したヨーク派は、やや優位な高台を占拠し、そこからランカスター派の陣地へと突撃しました。ヨーク派の前進を見るや否や、ルーシュ卿が指揮するランカスター派の中央部隊は向きを変え、衝突することなく橋を渡ってヘクサムへと逃げ込みました。ランカスター派の士気は崩壊し、残りの兵士たちもわずかな抵抗の後、川に追い落とされました。この日の死傷者の多くは、川で溺死したか、川から上がってヘクサムの街に向かって土手を登る際に殺されました。しかし、大部分は進軍してきたヨーク派によって捕獲され、捕虜となりました。

戦闘の余波

戦いが終わった夜、モンターギュ卿はサマセット公やルース卿を含む30人のランカスター派をヘクサムで処刑しました。ウィリアム・テイルボーイズ卿は、ヘンリー6世の軍資金2000ポンドとともにすぐに捕らえられました。イングランド北部におけるランカスター派の抵抗は、指導者を失ったことで崩壊し、ヘンリー6世がランカシャーのクリスローで捕らえられたことで、反乱は事実上終焉を迎えました。

この後、1469年にウォリック伯がランカスター派支持に転じるまで、比較的平穏な期間が続くことになります。

ヘクサムの戦いは、薔薇戦争の趨勢を大きく左右し、ヨーク朝の安定に大きく貢献した戦いとして、歴史に深く刻まれています。

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