ヘッド・ゲームス

ヘッド・ゲームス（Head Games）

『ヘッド・ゲームス』は、イギリスとアメリカのメンバーから成るロックバンド、フォリナーが1979年に発表した通算3作目のスタジオアルバムです。前作、前々作で既に高い人気を獲得していた彼らにとって、その地位を確固たるものとする重要な作品となりました。

商業的成功と評価

本作は、ビルボード200チャートで最高5位にランクイン。アメリカ国内だけでも500万枚を超えるセールスを記録し、プラチナディスク認定を重ねるなど、商業的に非常に成功したアルバムです。その成功は、フォリナーが70年代末から80年代にかけてアメリカンロックシーンの中心的存在であったことを改めて示すものとなりました。

特徴的なアートワークとサウンド

このアルバムの最も印象的な要素の一つが、そのカバーアートです。男性用トイレで困惑した表情を浮かべる若い女性（リザンヌ・フォーク）が描かれたアートワークは、リリース当時、多くの議論を巻き起こしました。アルバムタイトルである「ヘッド・ゲームス」（心理戦、駆け引きといった意味）を象徴的に表現したものと解釈されており、一度見たら忘れられない強烈なビジュアルとなっています。

サウンド面では、ハードロックを基盤としながらも、メロディラインの美しいAOR的な要素も兼ね備えたフォリナーらしいスタイルが健在です。プロデューサーには、クイーンとの仕事でその手腕を高く評価されているロイ・トーマス・ベイカーが参加。フォリナーのアルバムを手がけたのは本作のみですが、彼のクリアでダイナミックなサウンドメイキングがアルバム全体の音像に大きく貢献しています。

ヒットシングルと収録曲

本作からは、パワフルでキャッチーな楽曲がシングルカットされ、大きなヒットを記録しました。

ダーティ・ホワイト・ボーイ（Dirty White Boy）: 疾走感あふれるロックアンセムで、ビルボード・ホット100で最高12位を記録しました。
ヘッド・ゲームス（Head Games）: アルバムタイトルを冠した楽曲で、こちらも力強いサウンドが特徴。ビルボード・ホット100で最高14位となりました。

これらの代表曲に加え、バラエティ豊かな楽曲が収録されています。

収録曲リスト（オリジナル盤）：

ダーティ・ホワイト・ボーイ - "Dirty White Boy" – 3:37 (作詞・作曲: ルー・グラム、ミック・ジョーンズ)
真夜中の電話 - "Love on the Telephone" – 3:18 (作詞・作曲: ジョーンズ、グラム)
女たち - "Women" – 3:25 (作詞・作曲: ジョーンズ)
反逆の夜 - "I'll Get Even with You" – 3:40 (作詞・作曲: ジョーンズ)
17（セヴンティーン） - "Seventeen" – 4:43 (作詞・作曲: ジョーンズ、グラム)
ヘッド・ゲームス - "Head Games" – 3:37 (作詞・作曲: グラム、ジョーンズ)
モダン・デイ - "The Modern Day" – 3:26 (作詞・作曲: ジョーンズ)
科学の影に - "Blinded by Science" – 4:54 (作詞・作曲: ジョーンズ)
灰色の別れ - "Do What You Like" – 3:58 (作詞・作曲: イアン・マクドナルド、グラム)
レヴ・オン・ザ・レッド・ライン - "Rev on the Red Line" – 3:35 (作詞・作曲: グラム、アル・グリーンウッド)

2002年の再リリース盤には、ボーナストラックとして「ザリア（Zalia）」（作詞・作曲: マクドナルド、グラム）が追加収録されています。

参加ミュージシャンと制作陣

本作のレコーディングでは、一部メンバーチェンジが行われています。ベーシストがエド・ガリアルディからリック・ウィルスに交代しました。彼が加わったラインナップは以下の通りです。

フォリナー：

ルー・グラム - リード・ボーカル、パーカッション
ミック・ジョーンズ - ギター、バック・ボーカル、ピアノ、リード・ボーカル ( "The Modern Day")
イアン・マクドナルド - キーボード、ギター、バック・ボーカル
アル・グリーンウッド - キーボード
リック・ウィルス - ベース、バック・ボーカル
デニス・エリオット - ドラム

プロダクションチーム：

プロデューサー - ロイ・トーマス・ベイカー、ミック・ジョーンズ、イアン・マクドナルド
エンジニア - ジェフ・ワークマン
アシスタント・エンジニア - ランディ・メイソン、ジョン・ウェーバー
マスタリング - ジョージ・マリオ
スタジオ・アシスタント - ランディ・メイソン、ジョン・ウェーバー
ミュージカル・ディレクター - ミック・ジョーンズ
アート・ディレクション - サンディ・ヤング
デザイン - サンディ・ヤング
* フォトグラフィー - デヴィッド・アレクサンダー、クリス・キャリス、ウィリアム・クーポン

『ヘッド・ゲームス』は、フォリナーの絶頂期における重要な作品として、商業的な成功、印象的なアートワーク、そして質の高い楽曲群によって、バンドのキャリアにおいて確固たる位置を占めています。彼らの代表作の一つとして、現在も多くのファンに聴き継がれています。

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