ヘリコプター甲板

ヘリコプター甲板についての詳細

ヘリコプター甲板（Helicopter deck, Helideck）は、主に軍艦や船舶に設置されるヘリパッドを指し、国際海事機関（IMO）では、単なる甲板の他に、消火設備などヘリコプターの安全な運航に必要な設備全体を包括するものと定義されています。アメリカ海軍や海上自衛隊では、航空母艦と同様の飛行甲板として扱われることが一般的です。

配置と構造

ヘリコプターは、垂直に離着陸できる特性を持つため、堅固な甲板面積が少なくても運用可能ですが、艦上では配備場所の確保が難しい場合が多いです。例えば、ドイツ国防軍が使用したフレットナー Fl 282は、船団護衛のため、砲塔の上にヘリパッドを設置して運用されました。戦後、艦載ヘリコプターの重要性が増し、駆逐艦やフリゲートにも導入されるようになりましたが、運用条件は依然として厳しく、海上自衛隊のはつゆき型護衛艦では、波浪による損傷を避けるために艦中央部から6メートル上に甲板が配置されました。このように、ヘリコプター甲板は艦の安定性や動揺と密接に関係しています。

近年、水上戦闘艦の大型化が進み、艦尾にも十分な甲板幅が取れるようになり、より多くの場合で艦尾にヘリコプター甲板が設けられるようになりました。さらに、ヘリコプター甲板が上甲板ではなく、上部構造物に配置されることもあり、この場合はエキスパンションジョイントを設けることによって、構造重量を軽減する工夫も見られます。

特殊艤装と機体の固定

水上艦のヘリコプター甲板では、艦船の動揺が常に問題となり、これを解決するために滑り止め塗装が施され、さらに脚を固定するための網が展開されることもあります。アメリカ海軍の規定では、ヘリコプターが甲板にいる時、必ず主脚にチョックをかけ、駐機時には固縛を行う必要があります。このため、甲板上には係止環が設置されており、機体の位置や数が決められています。

特に格納庫を持つ艦の場合、甲板上から格納庫内への移動も考慮され、専用の移動装置が導入されることがあります。海上保安庁の初のヘリコプター搭載巡視[[船]]「そうや」ではウインチを用いた方法が採用されましたが、次第に改良が進んでいきました。

さらに、カナダ海軍が開発したベアトラップや、米海軍のRASTシステムなど、高度な着艦拘束装置も設けられる場合があります。

航空灯火

日本国内の民間艦船において、ヘリコプター甲板に設置するべき灯火は、日本産業規格に規定されています。具体的には、水平指示灯や進入角指示灯、ヘリコプター甲板標識灯などが含まれ、これらの灯火はパイロットに着残る際のガイダンスを提供します。

例えば、水平指示灯は動揺に関係なく水平を指示し、進入角指示灯は着船誘導を行います。また、ヘリコプター甲板の標識灯には、着船する部位を通知するための複数の灯具が設置され、甲板上の存在を示す役割を果たします。

まとめ

ヘリコプター甲板は、単なる発着場としての役割を越え、艦船の運用において非常に重要な機能を有しています。その構造や運用方法、安全対策は、近年ますます進化しており、今後も新たな技術の導入が期待されます。

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