ヘルファイア (ミサイル)

AGM-114 ヘルファイア

AGM-114 ヘルファイア（Hellfire）は、アメリカ合衆国が開発した空対地ミサイルであり、主に対戦車用に設計されています。発射後、特別な指示なくターゲットに向かって飛行する「撃ちっぱなし機能」を持つ点が大きな特徴です。その名称には、ヘリコプターから発射されるミサイルという意味が込められていますが、他にも「地獄の炎」という語源も持ちます。

概要

ヘルファイアの誘導方式は主にセミアクティブレーザー誘導を採用しており、ワイヤーを使用しないため飛翔速度が優れており、瞬時に目標に到達します。このため、敵部隊が回避や反撃する余地を与えず、効果的な攻撃が可能です。さらに、発射機とレーザー照射装置を離して設置することもできるため、柔軟な操作が可能とされています。また、対艦用の弾頭も開発され、特にスウェーデン軍ではRBS17として採用されています。

開発は1971年に始まり、1985年から運用を開始しました。その後、K型以降は「ヘルファイア II」として知られ、誘導機能がさらに改善されています。ロングボウ・ヘルファイアと呼ばれるバージョンは、ミリ波レーダーを利用した高度な誘導方式を備えており、多様な戦闘環境に対応できます。

初期型のヘルファイアはレーザー照射による誘導が必要でしたが、AGM-114L ロングボウ・ヘルファイアの導入により、発射後は自動でターゲットを追従できるようになりました。この特徴により、撃った後は意識せずとも、精度の高い攻撃が可能となりました。

戦歴

このミサイルは数々の戦争において実戦使用されており、湾岸戦争では八機のAH-64 アパッチがこの武器を用いて敵レーダーサイトを破壊しました。続いて、アフガニスタン戦争やイラク戦争など、多くの現代戦でその力を発揮しています。また、MQ-1 プレデター無人偵察機からも運用され、ターリバーンの指導者に対しても使われました。

さらに、2014年にはソマリアでのアル・シャバブの拠点に対して攻撃が行われ、その結果として重要な指導者が死亡するなど、制圧効果が顕著でした。ヘルファイアの実績が示す通り、このミサイルは戦術的に非常に重要な役割を果たすことができました。

搭載プラットフォーム

ヘルファイアは多くの航空機や無人航空機で運用可能です。具体的には、AH-1W スーパーコブラやAH-64 アパッチなどの攻撃ヘリ、MQ-1 プレデターやMQ-9 リーパーといった無人機でも展開可能です。また、特定の陸上発射システムでも運用されることがあります。

主な使用国

アメリカをはじめ、イギリス、イスラエル、日本など多くの国でこのミサイルが採用されており、その戦略的な利用は国際的に広がっている事例が見受けられます。特に、敵の装甲車両や地上部隊に対する有効な防衛手段としての期待が寄せられています。

要目

AGM-114シリーズの製品には、様々なバリエーションが存在し、それぞれに異なる特性や機能がありますが、基本的な仕様は以下の通りです。

• - 直径: 17.8 cm
• - 全長: 163 cm
• - 重量: 45 kg
• - 推進方式: 固体推進ロケット方式
• - 射程: 0.5 - 8 km

このような信頼性と柔軟性を持つヘルファイアは、現代の戦争において欠かせない武器として広く認知されています。

もう一度検索