ヘルマン1世 (シュヴァーベン大公)

シュヴァーベン公ヘルマン1世

シュヴァーベン公ヘルマン1世（Hermann I., ? - 949年12月10日）は、10世紀のシュヴァーベン地方を統治した人物です。コンラディン家のロートリンゲン公ゲープハルトを父に持ち、神聖ローマ皇帝コンラート1世やフランケン公エーバーハルトとは親族関係にありました。

生涯

926年、前シュヴァーベン公ブルヒャルト2世がイタリアで戦死した後、ヘルマン1世は東フランク王ハインリヒ1世によってシュヴァーベン公に任命されました。この任命は、ヘルマン1世がブルヒャルト2世と血縁関係になく、またブルヒャルト2世に男子継承者（後のシュヴァーベン公ブルヒャルト3世）がいたにもかかわらず行われたものでした。

ヘルマン1世は、公位継承を確固たるものとするため、ブルヒャルト2世の寡婦レゲリンダ（チューリッヒガウ伯エーバーハルト1世の娘）と結婚しました。この結婚は、当時の政治的な状況を反映したものであり、ヘルマン1世の地位を安定させる上で重要な役割を果たしました。

938年、従兄にあたるフランケン公エーバーハルトが反乱を起こすと、ヘルマン1世はエーバーハルトと対立するようになります。翌939年、エーバーハルトが皇帝オットー1世の弟ハインリヒ1世の反乱に加担した際、ヘルマン1世は皇帝側として戦い、エーバーハルトはアンデルナハの戦いで戦死しました。この戦いは、東フランク王国内の権力闘争の一環であり、ヘルマン1世の政治的な立場を明確にする出来事でした。

ヘルマン1世には娘イダ（985年没）がおり、皇帝オットー1世の長子リウドルフと結婚しました。949年にヘルマン1世が死去すると、リウドルフがシュヴァーベン公位を継承しました。その後、リウドルフとイダの子オットー1世が嗣子なく死去した後、シュヴァーベン公位は同族（甥ともいわれる）のコンラート1世のものとなりました。

ヘルマン1世の生涯は、当時の東フランク王国の政治的な混乱と権力闘争を背景に、自身の地位を確立し、維持するために奔走したものでした。彼の行動は、後のシュヴァーベン公国の歴史に大きな影響を与えました。

参考文献

Reuter, Timothy. Germany in the Early Middle Ages 800-1056. New York: Longman, 1991.
瀬原義生 『ドイツ中世前期の歴史像』 文理閣、2012年
下津清太郎 編 『世界帝王系図集 増補版』 近藤出版社、1982年

関連項目

コンラディン家

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