ヘレンド

ヘレンド（Herend）

ヘレンドは、ハンガリー生まれの高級磁器ブランドで、磁器製のテーブルウェア、置物、人形、インテリア小物、ホームアクセサリーなどを専門としています。1826年に、ハンガリーのブダペストから2時間ほどの距離にあるヘレンド村で創業されました。創業者は、ショプロン出身のヴィンツェンツ・シュティングル氏で、彼はこの地の磁器製作の伝統を受け継ぎ、質の高い磁器を目指して努力しました。

歴史的背景

ヘレンド村は、元々16世紀からマヨルカ陶器で知られていましたが、シュティングルはこの場所を選び、1839年にタタ出身のフィッシェル・モールに事業を引き継ぎます。モールはヘレンドの名声を高め、特にハンガリーの貴族たちのために磁器製品を提供していました。1842年には帝室・王室御用達の認定を受け、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の庇護の下でさらなる発展を遂げます。

当時のヘレンド製品は、世界の博覧会で数多くの賞を受賞し、その存在感を一層印象づけました。特に1851年のロンドン万国博覧会で、ヴィクトリア女王がウィンザー城のために特注したディナーセットが大きな成功を収め、そのデザインは『クイーン・ヴィクトリア』シリーズとして広まり、多くの人々に人気を博しました。さらに、1853年のニューヨーク産業展示会や1867年のパリ万国博覧会でもヘレンドは多くの称賛を受けました。

技術とデザインの革新

フィッシャー氏は、斬新なデザインを次々に発表し続け、1866年にはハンガリー産業への貢献が認められて貴族に叙任されます。彼の後、孫のイェノー・ファルカシュハージーが経営を継いだことで、ヘレンドは引き続き名声を高め続けました。しかし、1926年にイェノーが亡くなった後は、アンドラーシュ伯爵とエステルハージ・モーリツ伯爵が経営を行い、今でも伝統的な製造技術と高品質の手作り・手描きの磁器を保ちながら、現代に適した製品を生み出しています。

代表的なデザイン

ヘレンドには多様な絵柄があり、特に「ヴィクトリアシリーズ」や「インドの華」、さらには「ウィーンの薔薇」などが有名です。これらのデザインは、ホワイトの磁器に色彩豊かな絵付けを施し、見る者を魅了します。

文化活動と社会貢献

また、ヘレンド社は文化活動にも力を入れており、若手研究者を支援するために地中海学会のヘレンド賞を設立。教育や研究の発展にも貢献しています。こうした活動は、企業の社会的責任を反映したものと言えるでしょう。

まとめ

今日のヘレンドは、その歴史を背に高品質な製品を提供し続けており、世界中の愛好家に親しまれています。手作りの豊かな表現と、時代を超えた美しさを持つヘレンドの磁器は、今後も高級テーブルウェアとしてその地位を確保し続けることでしょう。

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