ヘロデ党

ヘロデ党とは

ヘロデ党（英語: Herodians）は、新約聖書に登場する、ヘロデ朝を支持するユダヤ人の政治的集団です。彼らの主な目的は、ヘロデ王家の権力を維持し、その影響力を拡大することにありました。この集団は、当時のユダヤ社会において、一定の政治的影響力を持っていたと考えられています。

ヘロデ朝との関係

ヘロデ朝は、ローマ帝国の庇護の下でユダヤを支配した王家です。ヘロデ大王を始祖とし、その子孫たちがその後もユダヤを統治しました。ヘロデ党は、このヘロデ朝を支持し、その権力基盤を強化するために活動しました。彼らは、ヘロデ朝の統治を維持することが、ユダヤ社会の安定と繁栄につながると考えていました。

イエスとの対立

新約聖書では、ヘロデ党はナザレのイエスに敵対する集団として描かれています。彼らはイエスの教えや行動を警戒し、その影響力が拡大することを恐れていました。特に、イエスが「神の子」と自称し、当時の宗教的権威を揺るがすような言動を繰り返したことが、彼らの反感を買いました。ヘロデ党は、イエスを政治的脅威とみなし、その排除を企てました。

パリサイ派との連携

ヘロデ党は、本来対立関係にあったパリサイ派と、イエスを攻撃する目的のために一時的に連携しました。パリサイ派は、ユダヤ教の律法を厳格に守ることを重視する集団で、ヘロデ党とは宗教的立場が異なっていました。しかし、イエスを共通の敵と認識したことで、彼らは一時的に協力関係を築いたのです。この連携は、当時のユダヤ社会における複雑な政治状況を反映しています。

「ヘロデのパン種」

イエスは、弟子たちにヘロデ党の危険性を警告しました。彼は、ヘロデ党の影響力を「ヘロデのパン種」と表現し、その危険性を指摘しました。「パン種」とは、パンを発酵させるためのものであり、少しの量でも全体に影響を及ぼします。イエスは、ヘロデ党の思想や行動が、人々の心に浸透し、悪影響を及ぼすことを警戒したのです。

まとめ

ヘロデ党は、ヘロデ朝を支持する政治的な集団であり、イエスに敵対したことで知られています。彼らは、政治的権力を維持するために、宗教的な立場を異にするパリサイ派とも協力しました。イエスは彼らを「ヘロデのパン種」と呼び、その影響力を警戒しました。ヘロデ党の存在は、当時のユダヤ社会における複雑な政治的・宗教的対立を象徴するものです。

参考文献

* 『新聖書辞典』いのちのことば社、1985年

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