ヘンリク条項

ヘンリク条項の概要

ヘンリク条項（ポーランド語：Artykuły henrykowskie、ラテン語：Articuli Henriciani）は、1563年にポーランド・リトアニア共和国が成立した後、国家の統治に関する基本原則を定めるために作成された文書です。この条項は、国家の構造を整えるとともに、シュラフタ（ポーランドの貴族階級）の権利を保護することを目的としています。1573年、ヤギェウォ朝の断絶後に選挙王となることが決まったヘンリク・ヴァレジ（後のフランス国王アンリ3世）の名を冠しており、選挙王制の導入を助ける重要な役割を果たしました。

ヘンリク条項の重要性

この文書は、ポーランド・リトアニア共和国における絶対的な王権の拒絶を表し、国王の選出が世襲ではなくシュラフタによる選挙に基づくものであることを明示しています。具体的には、次のような条項が盛り込まれています。

• - 国王の選出: すべての国王は選挙によって選ばれ、世襲制ではないことが明記されています。
• - セイムの召集: 国王は最低でも2年ごとにセイム（議会）を開催しなければならず、その間の国政において、シュラフタの権限が重視されています。
• - 課税権の確認: 王はシュラフタの承認なしに租税や関税を設定することができないと規定されています。
• - 軍の指揮権: 国王は自らの軍を動員するためには、必ずセイムの承認を要し、軍隊への給与も支給される必要があります。

ヘンリク条項は、Republicの国家としての枠組みを強化し、国王が法に則った行動をとるように設計されています。これにより、政権の透明性や信託の原則が確保されることが期待されました。

元老院と監督機能

ヘンリク条項は、16人の元老院議員からなる常設元老院評議会の設置を定めています。この評議会は、国王に対して助言と監視を行う役割を持ち、国王が法を守るようにするための重要な機関とされています。元老院の中から選ばれたこれらの議員は、国王の行動が共和制の理念に沿ったものであるかを継続的にチェックします。また、評議のメンバーの一部は半期ごとに国王の助言者としての役割を果たします。

宗教的寛容と抵抗権

さらに、ヘンリク条項には当時としては珍しい宗教的寛容も含まれており、ワルシャワ連盟協約が掲げる理念が実現されました。これにより、国の中で様々な信仰が共存できる環境が整えられました。

また、もし国王が法律やシュラフタの特権を侵害した場合、シュラフタは国王の命令に従わない権利を持ち、反抗することも認められています。このように、ヘンリク条項は国王とシュラフタの関係に一定のバランスをもたらしています。具体的には、国王は「もし朕が法、自由、特権、慣習に反することがあれば、王国のすべての住民は朕に対する忠誠義務を解除される」という条文に誓う必要がありました。

結論

ヘンリク条項は、ポーランド・リトアニア共和国の政治文化において決定的な影響を与え、選挙王制の確立や貴族の権利の保障に寄与しました。その後のポーランドの歴史においても、その影響は大きく、重要な法的枠組みとなりました。ヘンリク条項は、国王と国民との関係を規定し、共和国の意思決定において民主的な側面を持たせる基盤を提供しています。

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