ヘンリク6世ドブルィ

ヘンリク6世ドブルィの生涯

ヘンリク6世ドブルィ（Henryk VI Dobry, 1294年3月18日 - 1335年11月24日）は、ポーランドのヴロツワフ＝レグニツァ＝ブジェク公であり、単独のヴロツワフ公としても知られています。彼は、レグニツァ＝ヴロツワフ公ヘンリク5世の次男であり、母親はヴィエルコポルスカ公ボレスワフの娘、エルジュビェタです。善良公とも称される彼の統治は、ポーランドの歴史において特異な存在を示しています。

幼少期と統治の開始

1296年、ヘンリク6世がまだ幼い2歳の時、父親が亡くなると、彼と兄のボレスワフ3世、さらに弟のヴワディスワフは母エルジュビェタと父方の叔父ボルコ1世による摂政下に置かれました。しかし、摂政たちも早くに亡くなり、権力が混乱の中にあった時期が続きました。少なくとも1310年には、彼がオーストリア公アルブレヒト1世の娘アンナと結婚した際、史料に記録されるようになります。

兄弟間の権力闘争

その後、ボレスワフ3世の統治に不満を持つ貴族たちによって公国は3つに分割され、ヘンリク6世は富裕なヴロツワフを手に入れました。この時、兄弟間の力関係が逆転し、ヘンリク6世は経済的な安定を得る一方で、混乱が続いていました。

1312年から1317年にかけて勃発した紛争では、ヘンリク6世は兄ボレスワフ3世と共に同盟を結び、他公との戦争に参加しました。この戦争では、ヘンリク6世の父ヘンリク5世を亡き者にしたヘンリク3世への復讐を目的としていましたが、結果としては、確実な勝利を収めることはできませんでした。

同盟と敵対

1314年、ヘンリク6世は義兄フリードリヒ3世のローマ王位獲得のための戦争に加わります。1321年には再びグウォグフ諸公との紛争が再燃し、この頃、彼は独自にグウォグフ公と同盟を結びました。この同盟関係の強化は、長女エルジュビェタの結婚によって実現されましたが、同時に兄ボレスワフ3世との関係は悪化の一途を辿りました。

彼はボレスワフとの領地交換提案を拒み、兄弟間の対立は深刻化しました。1320年にはポーランド王ヴワディスワフ1世に接触し、協力を求めるものの、結果としてローマ皇帝ルートヴィヒ4世に助けを求めることになりました。

時代の変化と最終的な決定

1327年、ヘンリク6世はボヘミア王ヨハン・フォン・ルクセンブルクと同盟を結び、その結果として公国の将来が決まります。この同盟により、ヘンリク6世は自身の後継者を設ける権利を獲得し、ボレスワフ3世の野心を抑えることに成功しました。しかし、彼の権力と領土に対する脅威は依然として解消されることはありませんでした。

国内政治では、ヘンリク6世は強大化したヴロツワフの貴族たちとの間で緊張した関係を持っており、教会との対立も続いていました。彼はこのような状況の中で奮闘していました。

死去と後継

1335年11月24日、ヘンリク6世は亡くなり、ヴロツワフの聖ヤドヴィガ教会に埋葬されました。生前に結んだ同盟や政治的な決定は、彼の死後に影響を与え、ヴロツワフ公国は1327年の協定に基づいてボヘミア王国に併合されることとなりました。

彼自身は三人の娘を持ち、それぞれが他の地域の公と結婚していくこととなります。彼の存在は、ポーランド中世史における複雑な権力の流れを物語ります。

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